日本におけるヘルスリテラシーの課題 人生100年時代に必要な考え方とは
健康管理のデジタル化やデータ活用が広がることで期待できることの調査では、「病気の早期発見・早期治療」「自分の健康管理」「より適切な治療が受けられる」といった項目への回答割合が高い。しかし、こちらも日本では多くの項目で他国を下回る結果となっている。
一方、健康管理への意識が高いといえる国はフィンランドだ。日本と同様に高齢化が進む同国では、各項目においてデジタル化やデータ活用への期待が高い傾向であると示されている。
「医療現場の負担が軽減される・医療現場の労働生産性が高まる」「予防行動を促進し、国の医療費の最適化につながる」など、自身の健康管理の先にある項目はどの国も高いポイントではない。しかし、電子カルテの導入率がほぼ100%で、健康関連データの一元化が進むフィンランドでは、当該回答を選択した割合が最も高かった。
また、日頃の健康管理への意識は、医療機関を受診した際に対峙する医療関係者とのコミュニケーションにも影響すると考えられる。
「受診の際に医療関係者(医師・看護師・薬剤師など)と対話(※)ができるか」を尋ねた項目では、日本は「できる」と答えた割合が4割以下となり、こちらも5割を超える5カ国に比べて最も低い結果となった。自身の治療方針を決定する際に意思を伝えることができるかどうかの割合も、他国はいずれも7割を超えるのに対し、日本は7割以下となっている。
健康管理のデジタル化、そしてデジタルツールの活用が個々人のヘルスリテラシーを高めるとともに、その恩恵が日本の医療や社会の未来にどのように生かされていくのかを考えることが必要だろう。
※対話=医療関係者による説明への理解を深めたり、質問や自分の意見を伝えたりすること。
ヘルスリテラシーを高めた健康管理が、人生を豊かにする第一歩
日本のヘルスリテラシーが低い理由には、平均寿命が長く医療水準の高い日本だからこそ、どこか安心している側面があるのかもしれない。しかし、そこに改善の余地があるならば、私たちはさらに健康で豊かな人生を送れる可能性を秘めているといえる。