日本におけるヘルスリテラシーの課題 人生100年時代に必要な考え方とは
中山教授はこの一連の調査結果をどのように捉えているのだろうか。
中山教授「デジタルツールを健康管理に活用している人は6カ国中最も少ない結果でしたが、活用している人はその利便性にメリットを感じているようです。『生活や人生における健康の現在地を知る』という観点で、健康診断やがん検診の受診に加えて、まずは身近なデジタルツールを日常の健康管理に取り入れてみることも良いと思います。また、他国ではデジタルツールを『受診時の自身の症状の伝達に生かす』という回答が日本と比較して多く見られ、医師とのコミュニケーションにも活用している点で、総合的なリテラシシーの高さにつながっている様子がうかがえます」
他国ではデジタルツールの活用が予防行動促進による国の医療費の最適化につながると考えている割合も多いといい、日常のその先における有用性も期待できると語る中山教授。また、医療関係者から伝えられた医学知識を「納得・理解できること」は重要だが、さらには「自分の人生において、健康・医療の事象や状態にどう対応していくかを自ら考えていく姿勢」も重要だと訴えた。
最後に中山教授は、「難しい医学情報を極めようとは思わず、『判断できる情報の捉え方』『自分の健康の現在地を知る』『自分がどんな人生を送りたいのか整理する』などを意識してみてください」とコメントを寄せている。
ヘルスリテラシーの向上は、健康寿命の延伸に寄与することだろう。人生100年時代を豊かに暮らすため、そしてサステナビリティが叫ばれる社会を生きるため、まず私たちが活動を持続できる健康を手にする必要がある。
そのためには、中山教授のコメントにあるように、情報の捉え方を学び、自分と向き合うことが重要となる。その第一歩として、身近なデジタルデバイスを活用した健康管理に取り組んでみてはいかがだろうか。
健康管理自体は個々人の取り組みではあるが、社会全体としてヘルスリテラシーの高い文化が醸成されることで、ひいては日本の医療があらゆる側面から最適化され、社会が持続可能なものになることが期待される。
AMP編集部