結果にコミットする「売れる営業」の請負人
中内崇人は2018年12月、「営業を科学する」をコンセプトとしてSALESCOREを設立。同社は、営業組織向けのSaaS「SALESCORE」を展開。SFA(営業支援システム)へのデータ入力から可視化、分析、KPI予実管理を速やかに行えるツールで、コンサルティングと併せて提供することで、売り上げを伸ばす営業組織へ変革する「セールスイネーブルメント」を支援。21年のサービス提供開始以降、スタートアップから大企業まで幅広く導入が進んでいる。 独立系VCのB Dash Venturesは、SALESCOREが総額1.9億円を調達した22年6月のシリーズAラウンドにリード投資家として参画。同VCの山崎良平が投資した理由とは。 山崎:私はBtoB案件の投資先が多く、2021年には10件近くSaaSスタートアップに投資していました。そこで感じていたのが、プロダクトを売るのはすごく大変だということ。そんななか、中内さんがSaaSに加えて、売れる組織に変革していくこともセットで提供していると聞いて、自分の投資先にコンサルティングしてほしいと感じたし、ニーズがあるだろうと思いました。 中内:セールスイネーブルメントは、直訳すると売れるようになるという意味。要は営業パーソン1人当たりの売り上げを向上させるものです。やり方はいろいろあるのですが、私がいちばん着目したのは、営業組織を文化から変えること。その実現にテクノロジーは有効ですが、それだけでは変えきれない部分がある。それでコンサルも提供して、文化の変革にコミットしています。よく「営業組織版のライザップ」といわれますね。 山崎:中内さんはディー・エヌ・エー出身で、元々はゲームプランナー。普通に考えたら、プロダクトでスマートに解決することを志向するはずだし、SALESCOREを立ち上げた18年ごろは、多くの起業家がSaaSで起業していたタイミングで、シード期からコンサルも一緒に提供しようと思うところが変わっていますよね。その意味ですごく逆張りだけど、起業家はすでに見えている道ではなく、舗装されてない道を切り開くからこそ成功できると思っています。 中内:実は私自身は、社会人としての営業経験はないんです。でも、創業メンバーにはキーエンスの出身者がいて、同社やセールスフォース・ドットコム、リクルートなど、文化が強いといわれる営業組織をすごく研究してきました。そこで衝撃を受けたのですが、経済学でいう「2:8の法則(組織の成果の80%は全体の20%の社員が生み出しているという法則)」は、文化が強い営業組織には当てはまらなくて、全員が成果を出せる仕組みを狙ってつくれることがわかってきたんです。私は興味が止まらなくなって、創業メンバーを50時間以上も質問攻めにし、いろいろな人に詳しい話を聞きに行って、すごい量のメモをためていきました。それで、この知見のすべてをほかの企業にインストールする方法を考えたわけです。