色鉛筆画で世界を驚かせる 線画と写実、両立探究する無名画家 地元に続き12月に米LAで個展
太い輪郭線で描かれた人物画はポップなイラストのよう。一方で頬の赤みや血管の青さといった肌の質感は忠実に再現されている。「線画と写実の美しさが両立する絵を探究してきた」と話すのは、色鉛筆で人物画を手がける五月雨(さみだれ)薫さん(34)=岡山市。10月末から市内のギャラリー、12月にはアートが盛んな米国・ロサンゼルス(LA)に進出し巡回展を開く。「画家として飛躍のきっかけにしたい」と初の海外個展への意気込みを語る。 【写真】色鉛筆画を手にする五月雨薫さん。「ロサンゼルスでの個展を成功させたい」と意気込む 幼い頃から絵に夢中だった。色鉛筆にはまったのは「絵の具と違って準備が要らず、すぐに絵を描けるから」。小中高の休み時間はいつも絵に費やした。 19歳の時に画業を始めた。アルバイトと兼業しながら岡山県内や東京で個展を開きつつ、ブログで日々の創作活動を発信してファンを増やした。 少年漫画の影響を受けつつ、中学生の頃から写実性も追求してきた。「自分の理想のスタイルにもっと近づきたい」と2018年から5年間、福山市の絵画教室に通ってデッサンを学び直した。 海外でのチャンスが舞い込んだのは昨年3月。初めて大阪で作品を展示した際、鑑賞に来ていたLAのギャラリーオーナーから個展の開催を提案された。ギャラリーは老舗で、新進気鋭の若手作家らによる個性的な作品を中心に展示。「すごく興奮した。やるしかない」と、その場で引き受けた。 画業を始めて15年。「海外展示は人生最大のイベントでありチャンス。100%の力を発揮した絵を披露したい」と創作に励む。 9月に完成した「Butterfly girl―HOPE―」は上を向く女性の横顔と“旅するチョウ”として知られるアサギマダラの羽を組み合わせた。海外での活躍を夢見る自身を投影した作品は希望がにじむ。 旅費や画材費にと9月末までクラウドファンディングを実施。目標の2倍近くの約150万円が集まった。「海外での個展はスタート地点。無名画家の私を応援してくれた人たちのためにも成功させ、世界に羽ばたくきっかけにしたい」と誓う。 岡山市での巡回展は10月31日~11月4日、KSギャラリー(岡山市北区表町)。LAでは12月7~28日、「The Hive Gallery and Studios」で開く。いずれも入場無料。 (まいどなニュース/山陽新聞)
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