「今でもラーメンは430円」「地元密着型」のスガキヤ。低価格を維持してこられた理由と、こんなにもある”強さの秘訣”
正直、このラーメンフォークでは麺を食べづらく、結局箸を使う人が増え、ラーメンフォークはレンゲ代わりになってしまった。2007年に形を改良したものの、お店に行くと箸を使っている人が大半だ。 今は洗い箸が使えるようになったことでエコの面を考えても解決したが、ラーメンフォークは「スガキヤ」の象徴として今も残っている。そして、箸を使えない子どもたちには好評だという。 ■低迷期はほとんどない。その理由は?
このように低価格で営業を続けてきた「スガキヤ」だが、実は低迷期はほとんどない。さすがにコロナ禍は売り上げが低迷したが、その後回復し、2023年度は約114億円とコロナ前の業績を上回っている。 ■スガキヤが低価格でやってこられた理由は? 長く低価格でやってこられた理由を「スガキヤ」はこう分析している。 ・完全地元密着 ・毎週のように通ってくれるリピーターが多い ・宣伝しなくても自然にお客さんが来ていた 前述したとおり、ほとんどのお店が愛知・岐阜・三重に集中しており、このエリアに住む人々にとっては日常に溶け込んだ当たり前の存在になっている。
ショッピングセンターやスーパーマーケットのフードコートを中心に出店しているので、席数も無限にあり、ラーメン店特有の席の回転に縛られないのも大きい。安いので学生も多く利用し、週末はファミリー利用も多く、自然にお客さんの集まる形になっている。 逆に首都圏でうまくいかなかったのは、圧倒的な認知の違いであろう。黒字経営の店もあったが、首都圏では「日高屋」や「幸楽苑」と戦わなくてはいけなくなる。 首都圏では、“ラーメン”と“甘味”の店としての「スガキヤ」が認知される前に完全な価格競争になってしまうだろう。一度挑戦をしたが、スパッと撤退していることも潔いと感じる。
なかなか他エリアにはない稀有な存在である「スガキヤ」。これからも独自の道を歩み続ける。
井手隊長 :ラーメンライター/ミュージシャン