「今でもラーメンは430円」「地元密着型」のスガキヤ。低価格を維持してこられた理由と、こんなにもある”強さの秘訣”
「『スガキヤ』はそもそもラーメン屋という枠では考えておらず、お客様にはファストフード感覚で使っていただく考え方です。常に低価格で気軽に食べられることを大事に営業してきました」(スガキヤ 広報担当) 創業当時から「安い」ということが根底にある営業スタイル。これはすごい。まさに昭和の町中華などにも通ずるような考え方だ。 ■今年、初めて400円台に ラーメンの価格は1948年当時で20円。今から10年前の2014年時点でも300円で、そこから300円台の時代が続き、今年3月21日に390円から430円に値上げし、初めて400円台になった。
ここ数年は原料価格の高騰や人件費の問題で毎年値上げを余儀なくされてきたが、そのたびに落胆の声がネットから聞こえてきたという。 常連客からすると「コーヒー一杯の価格でラーメンが食べられるお店」というイメージがついており、派手な値上げはできないのだという。400円台に上げること自体も相当な勇気が要ったそうだ。 安く提供するためには、経費の削減は必須である。その象徴のような存在が「ラーメンフォーク」である。ラーメンフォークはスプーンとフォークが合体したもの。スプーンの先にフォークが付いているという、他で見たことのない形状の食器である。
これが生まれたのは1978年。創業者の菅木周一氏が、当時毎日大量に捨てられている割り箸を見て、これはもったいないと立ち上がり、開発したのだという。 森林伐採の問題なども叫ばれていて、環境保護の観点から開発されたものだが、一方でこのラーメンフォークは「ケチ」から生まれたものとも言われている。とにかく経費を削減し、ラーメンを安く提供するための汗と涙の結晶なのである。 『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』の著者・高井尚之氏は、モノ不足の時代に育った当時の経営者には、「ケチ」が信条だった人が一定数おり、「スガキヤ」もそうだったに違いないと分析する。