360度どこから見ても美しい丸みの肩で魅せた30歳 JBBF初出場ながら2位の好成績
体育教師からパーソナルトレーナーに転身して7年、2024年JBBF広島連盟主催『中四国選手権』メンズフィジーク168cm以下級で優勝を飾った林佳士(はやし・けいと/30)さん。大学卒業後、広島県で体育教師として臨時採用されたものの、生計を立てるためにフィットネスクラブでもアルバイトをしていたそうだ。 【写真】林佳士さんの進化した肩
学校で指導するのはクラス全体に向けて。一方、フィットネスクラブでは1人にフォーカスした個別指導を行なっていたため、パーソナルトレーナーという職業に楽しさを覚えたという。合わせて自分自身の肉体改造にものめり込み、コンテストへの出場も視野に入れるように。 本格的にパーソナルトレーナーに転職するにあたって、2018年の中四国大会に視察へ。メンズフィジークのステージを間近で見て「いつかこの舞台で戦いたい」と感じたそうだ。「けれど、現実的には戦えるような身体じゃなくて。筋量をつけて、フィジーク仕様のアウトラインを作り込まないといけないと思いました」と、林さんは当時を振り返る。 2019年にベストボディ・ジャパンでコンテストデビューし、2022年にマッスルゲート、翌年の2023年に念願のJBBFのステージに林さんは立った。しかし、結果は2位。初出場ながら2位という素晴らしい成績だが、自身は「悔しかった」そうだ。 より、“フィジーク”の身体を求めて、肩と胸周りの筋肉を増やし、背中の広がりを作る。林さんはこの肩・胸・背中の優先順位を高めて、トレーニング頻度と強度を上げたのだそう。 「特にお世話になったのは、自分が所属する『ストレングスジム』の会長・重岡寿典さん(2012年日本クラス別65kg以下級優勝)と、2023年広島県メンズフィジーク176cm以下級で優勝した後藤憲司さんです。重岡会長からは、背中の強化と肩はプレス系中心メニューで重量をしっかり伸ばすことを指南していただき、高校の先輩でもある後藤さんからは『肩のサイドが必要』とのことで、何度も合トレでレイズ系の種目を教えていただきました」 プレス系の種目では、最初に重たいものをしっかりと扱う。疲労が溜まれば低重量に切り替えて最後まで追い込んでいく。また、レイズ系の種目でもバリエーションを増やし、スタンディングだけでなく、サイドリアやリアミドルに効くようなスタンスで行い「四方八方から刺激を入れるようにしている」と教えてくれた。360度どこから見ても美しい丸みを持たせるためのトレーニング方法だ。 その成果は、今年の中四国大会の優勝で示された。昨年悔しい思いをした分、今年は晴れやかな気持ちで金色のメダルを受け取ることができただろう。西日本大会、オールジャパン選手権と大きな大会が続く林さんは「全国のトップ選手たちと並んで、どう爪痕を残せるか」と話してくれた。 先日の西日本大会では58名から21名に絞られる一次ピックアップ審査は通過。21名から12名に絞られる二次ピックアップ審査では2回ほど呼ばれたが、通過ならず。身長別の優勝者を決めるオールジャパン選手権の大舞台まで、闘志を燃やし続けてほしい。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
文・撮影:小笠拡子 写真提供:林 佳士