「公務員vs会社員」生涯年収が高いのはどっち?退職金事情の比較も
会社員の生涯年収はいくら?
続いて、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2023 ー労働統計加工指標集ー」を基に、会社員の生涯年収を見てみましょう。 ● 会社員の生涯年収 学校卒業後の60歳までの生涯賃金(退職金を含めない)は男性の大学卒で2億5000万円、女性の大学卒で2億円です。 企業規模が大きいほど高くなる傾向があり、例えば男性で大学卒の場合、企業規模1000人以上では2億9000万円まで達するものの、企業規模10~99人では2億円にとどまります。 また退職金を含めた金額では、男性は10~99人の企業規模では2億6000万円であるのに対し、1000人以上では3億7000万円。 女性は10~99人で2億1000万円なのに対し、1000人以上では2億9000万円となりました。 企業規模により生涯賃金の差はさらに開くことがわかります。 ●会社員の退職金 別の統計資料にはなりますが、厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、大学・大学院卒の定年退職金は次のとおりです。 ・20~24年:1021万円 ・25~29年:1559万円 ・30~34年:1891万円 ・35年以上:2037万円 ・合計:1896万円 公務員と同様に勤続年数や昇進・昇給スピードによって異なる上に、企業規模によっても差が出ることがうかがえます。
生涯年収は公務員のほうが高いのか?
それぞれ異なる資料で「モデル給与例」「平均額」から算出するのであれば、国家公務員の「本府省課長」の生涯年収は3億円超えとなり、大企業の会社員と同じかそれ以上と推定されます。 しかし前述のとおり、公務員でも職種や役職、勤務地などに大きく左右されるため、単純に比較することはできません。 また、退職金や賞与の支給月数が減少傾向にあることから、今後は公務員の給与水準が落ちる可能性もあるでしょう。 生涯年収を考える上では、「公務員か会社員か」以上に、その先の出世や昇進コースのビジョンを描けるかどうかが重要になりそうです。