裏金批判で揺らぎ始めた保守基盤、自民王国・山口でも逆風-衆院選
民主党政権の記憶
強い逆風下にある自民党だが、2009年から3年間の「民主党政権による混乱」を挙げ、有権者の支持をつなぎとめようとの動きも見せ始めている。石破首相は22日の街頭演説で、政権交代を掲げている野党がどのような政権をつくろうとしているのか全く分からないと批判した上で、「何としてもこの連立政権を守り抜いていかなければならない」と語った。
下関市議会の安岡克昌副議長は、民主党政権時に道路などのインフラ整備が停止した際の困惑を有権者は忘れないという。教育や福祉に財源が偏ることへの懸念があり、米軍の岩国基地を抱える山口県では外交や防衛などバランスの取れた政策を求める傾向があると語った。
一方で、政権交代から10年以上が経過して当時の記憶が薄れつつあるのも事実だ。
岩国市の30歳の会社員、高岡麗奈氏は、両親や祖父母は熱心な自民党支持者だが、立憲民主党に投票するつもりだと話す。勤め先の労働組合が支援をしており、「自民党より庶民の味方だ」と感じているという。
安倍元首相の地元だった長門市も例外ではない。長年自民党を支持してきた団体の幹部は、「政治とカネ」を巡る問題への憤りから、期日前投票で比例区は共産党に投じたと語った。
--取材協力:野原良明.
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Yuki Hagiwara, Alastair Gale