船井電機HDが債務保証、旧ミュゼの広告費の行方
SNSマーケティングの(株)サイバー・バズ(TSR企業コード:296681660、東証グロース、サイバー社)は、コンピュータ関連の出版物販売の(株)秀和システム(TSR企業コード:292007680、秀和)らに対して約22億円の連帯保証債務履行を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9月13日、東京地裁で開かれた。同時に訴えられているのは、広告代理のKOC·JAPAN(株)(TSR企業コード:134509072、以下KOC)や秀和の代表、行政書士など5名。 訴訟記録によると、概要は以下の通り。 訴外(株)MIT(TSR企業コード:300036639、旧商号:(株)ミュゼプラチナム、ミュゼ社)は、訴外A社との間で広告代理契約を締結し、A社に対して、アフィリエイト広告の実施、手配を依頼した。しかし、両社の関係が悪化したため、ミュゼ社はサイバー社を広告代理店に変更した。ミュゼ社がサイバー社に広告の実施や手配を依頼し、サイバー社はA社に再委託する形で2023年4月、広告基本取引契約を締結。支払い条件はA社がサイバー社に対して、3カ月後の月の末日に報酬支払いを請求し、サイバー社は4カ月後の末日にミュゼ社に請求することとした。 ミュゼ社がサイバー社に対して支払う報酬額は2023年8月分が4.4億円、9月分が4.1億円、10月分が2.7億円、11月分が4.1億円、12月分が5.7億円、2024年1月分が4.1億円(本件主債務)だった。 2023年4月、サイバー社、A社、訴外船井電機・ホールディングス(株)(TSR企業コード:570182948、船井電機HD)は、ミュゼ社のサイバー社に対する本件主債務を連携して保証することを主な目的として「広告取引に関する合意書」を取り交わし、2024年2月には行政書士が本件主債務における「2023年8月度及び同9月度分広告費」の支払いについて連帯保証し、同年3月に秀和や役員も本件主債務を保証した。 しかし、2023年12月、ミュゼ社の資金繰りが追い付かず、サイバー社に対して、2023年12月末日を支払期限とする広告報酬(同年8月分)を支払うことができない旨を連絡し、支払いを遅滞させるようになった。そのためサイバー社は、ミュゼ社・船井電機HDに対して内容証明郵便で支払いの催告を行った。この催告を受け、ミュゼ社は2024年3月1日までに合計3.4億円を支払い、同年5月31日に425万円を支払った。しかし、これを最後にミュゼ社、船井電機HD、秀和らは一切の支払いを行わなかったため、サイバー社は東京地裁に連帯保証債務履行を求めて訴訟を起こした。
これに対して秀和らは、「サイバー社の請求の棄却を求める。請求原因に対する認否等は追って行う」としている。 なお、サイバー社はミュゼ社を被告として業務委託料の支払いを求める訴訟を東京地裁で起こしているほか、船井電機HDを債務者として債権仮差押命令申立および株式仮差押命令申立を行い2024年5月2日、いずれも仮差押決定の発令を受けている。 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年10月17日号掲載「取材の周辺」を再編集)