『西園寺さんは家事をしない』突然浮上した三角関係 津田健次郎の巧みな“ギャップ”が光る
西園寺さん(松本若菜)との関係性について認識を改め始めた楠見(松村北斗)
そして、西園寺さんの異変に触れ、これまでは第三者の目が入らない“偽家族”という形で完結していた彼女との関係性について認識を改め始めた楠見。横井が西園寺さんをデートに誘ったと聞けば仕事の手は止まり、撮影現場で2人の掛け合いを見るとどこか居心地の悪そうな素振りを見せる楠見にも、確実に心境の変化がもたらされているのは間違いなさそうだ。ルカという第一優先すべき存在がいる楠見にとっては、第三者の介入がない限り、西園寺さんとの関係性を見つめ直す機会なんてなかなか得られなかっただろう。 それにしても「独特で全力」な西園寺さんは本当に体当たりだ。西園寺さんのパートナー探しの阻害をしてしまわぬようにとできるだけ早く家を出ていくことを密かに決めていた楠見に対して、パートナー探しの本当の理由が「楠見くんを好きになったら偽家族を続けられないと思ったから」と真っ向から伝える。下手な駆け引きがなく臆病さが先立って物分かりの良い振りをすることもない。それが彼女の潔さであり魅力であり、視聴者含め周囲の人間が彼女を放ってはおけないと思える最大の要因だろう。“無責任救世主”であり“無責任女神”である彼女は無条件に周囲を励まし力づけるのに、こと自分のこととなるとあまりに不器用でそれが愛おしい。 西園寺さんの自分のことは後回しな真っ直ぐさゆえに、最終的には彼女の“バババに救われた”横井からも楠見からも「今度は自分があなたを救う番だ」という言葉が引き出された。 突然浮上したこの三角関係はどうなるのか。西園寺さんが何より守りたい“偽家族”は次にどんな形態を迎えるのだろうか。
佳香(かこ)