楽天、PayPay、Vポイント 国内2.5兆円市場を制するのはどこか
ポイント経済圏が日本の消費行動を大きく左右する時代となった。矢野経済研究所の調査によると、2022年度の国内ポイントサービス市場規模は約2.5兆円に達し、2025年度には2.9兆円まで拡大すると予測されている。もはやポイントは単なる特典ではなく、企業の顧客囲い込み戦略の要となっている。 【画像】最下位はどこ? 「8大ポイントサービス」満足度ランキング(全8枚) この巨大市場で覇権を争う各社にとって、自社ポイントをメインで利用するユーザーの満足度は、将来の成長を占う重要な指標だ。J.D.パワー ジャパンが実施した「2024年共通ポイントサービス満足度調査」は、各社の現状と課題を浮き彫りにしている。 同調査は、月に1回以上共通ポイントサービスを利用する18~74歳のスマートフォン所有者1万8036人を対象に、2024年7月下旬から8月上旬にかけて実施された。「ポイントのためやすさ」「ポイントの使いやすさ」「ポイント確認のしやすさ」「ホームページ/カスタマーサポート」の4項目で評価し、1000点満点で各サービスの満足度を算出している。 今年から新たに金融系の「Vポイント」と交通系の「JRE POINT」が調査対象に加わった。これにより、通信系、流通系を含む計8ブランドの比較が可能となり、業界の勢力図がより鮮明に浮かび上がってきた。 今回の調査を担当したJ.D.パワー ジャパンの奥和樹シニアマネージャーは「金融サービスとの連携がもたらすユーザー満足度への影響が、今後の各社の戦略を大きく左右する可能性がある」と指摘する。 では、最新の調査結果は各社の現状をどのように映し出しているのか。そして、ポイント経済圏の次なる主戦場はどこになるのか。調査結果を詳しく見ていこう。
ポイントの満足度を左右する要素
共通ポイントの満足度ナンバーワンは、いわずとしれた楽天ポイントだ。この調査は、どのポイントが一番人気かとかどのポイントが一番使われているかとかではなく、「そのポイントのメインユーザーが、どのくらい満足しているか」を調べていることに注目してほしい。楽天ポイントは、最大勢力の共通ポイントだが、利用している人の満足度でもトップになっているのだ。 では、どんな点が満足度につながっているのだろうか。奥氏は「ためやすさ、使いやすさ、確認しやすさのすべてが4年間ずっとトップ。特に、最も満足度に影響する『ためやすさ』のポイントが、楽天ポイントは高い」と話す。 全般に高い評価を受ける楽天ポイントだが、特にためやすさにおいて他をしのぐ。例えばオンラインでのためやすさでは、楽天市場を有する楽天ポイントがダントツで満足度が高い。一方、ヤフーショッピングを持つPayPayポイントやau PAYマーケットのPontaポイントの満足度は平均に満たない。またAmazonと連携を始めたdポイントも、満足度として効果が出てくるのは次回調査あたりからだろう。 リアル店舗でのたまりやすさはどうか。実はここでも楽天ポイントの強さが光る。旅行や宿泊、ガソリンスタンドなど比較的高額なサービスでの利用においてユーザーの満足度が高い。 少し面白かったのが、今回から調査に加わったJREポイントだ。JR東日本が運営するポイントサービスで、鉄道利用やSuica決済、駅ビルでの買い物でたまる。今回リアル店舗でのたまりやすさについて、JREポイントが非常に高い満足度を示した。 特に駅ビル、百貨店、書店、カフェでの利用で高評価を得ている。これは、駅を中心とした「街」の概念を軸にしたポイント戦略が功を奏した結果だといえるだろう。このことが、ポイント総合満足度で3位につけたことにつながっている。