楽天、PayPay、Vポイント 国内2.5兆円市場を制するのはどこか
Vポイントの課題
一方、ためやすさで評価が伸びなかったのがVポイントだ。dポイントならファストフード、Pontaポイントならコンビニ、WAON POINTならスーパー、nanacoポイントならコンビニと、他に比べて優位な店舗があるものだが、Vポイントには強い場所がない。 次に、使いやすさについてはどうか。ここで高い評価を得ているのがPayPayだ。これはPayPayポイントの発祥が、決済アプリであるPayPayであることを思い出せば納得できる。逆にいえば、PayPayポイントをメインで使っているユーザーは間違いなくPayPayユーザーであり、たまったポイントの利用に悩むことはない。 同じように決済サービスを提供する三井住友カードのVポイントはどうだろうか。こちらは意外なことに使いやすさの評価は高くない。三井住友カードはVポイントの紹介のたびに「世界各国どこでも使える」ことをウリにしているが、それはVポイントメインユーザーにも響いていないようだ。ポイントを三井住友カードで直接利用できないという点が大きく影響している。 リアル店舗でVポイントを使うには、VポイントをVポイントPayにチャージした上で、スマホのタッチ決済をする必要がある。正直かなり面倒だ。さらにクレジットカードとも競合してしまう。せっかくサービスを提供しているのが三井住友カードなのに、その強みを生かせていないように見える。
金融が満足度を左右するドライバーに
JDパワー調査の興味深いところは、どんな要素が総合満足度に最も影響したかも分析していることだ。ポイントのためやすさの満足度について最も影響が大きかったのは、実は「ポイント運用サービスの利用」や「投信の保有残高に応じてポイント付与」といった金融サービスの利用だった。 実は携帯電話会社の通信サービスなど毎月の利用料金に応じてポイントが付与されるサービスの利用より、金融サービスと密接に連携しているほうがユーザーの満足度は高い。 「銀行などの個人向け金融サービスは長期利用を前提としている。特定の経済圏のサービスにまとめるハードルは高いが、離脱も少ない」と奥氏は分析する。つまり、携帯キャリアを変えることにこだわりがない人でも、ポイントと組み合わせて決めた投信積立などのサービスへの忠誠度は高くなるわけだ。 金融サービスの利用は全体の1割程度にとどまるが、ここを制したポイントがユーザーの支持を集めることにつながりそうだ――。と思いきや、実はここで強いのも楽天ポイントだ。金融サービスもまとめて利用しているユーザーが突出して多いのが楽天ポイントのユーザー。ここでも楽天ポイントの盤石性が見える。 とはいえ金融連携で伸びしろがあるのは、今回満足度調査で最下位(前回も最下位)だったVポイントだろう。共通ポイント各社の中で、唯一金融を母体とする三井住友カードが運営しているわけで、そのシナジーをつくれればとても粘着性のある経済圏になるはず。 SBI証券とのクレカ積立は成功例だったはずだが、プラチナプリファードのポイント還元率変更はユーザーには改悪と見られている。このあたりの取り組みは、もう一歩の改善が必要だろう。