インバウンドの新たな主役!? タイに期待する動きが加速【WBS】
日本を訪れる中国人の数はコロナ前の4分の1ほどですが、訪日外国人全体の数を見ると去年1年で2500万人を超え、コロナ前のおよそ8割まで回復してきています。その中で存在感を増しているのが成長著しい東南アジアの国々、最も数が多いのがタイです。このタイに期待する動きがいま、加速しています。 9日、初フライトを迎えたのはANAホールディングスの国際線の新ブランド「エアージャパン」。成田とタイのバンコクを結びます。 エアージャパンは大手航空とLCC(格安航空)の中間に位置づけられる第3のブランド。324席全てがエコノミークラスで、シートの間隔は81センチとLCCより広めです。その一方、機内食や座席指定は有料です。料金は片道1万5500円からで、第1便のチケットは完売でした。 エアージャパンによると、利用客の7割をタイからの訪日外国人。3割を日本人と想定しています。エアージャパンの峯口秀喜社長は「これから経済成長する国でもあるし、バンコクの人は日本が大好き」と話します。 親日国で経済成長を続けるタイ。日本航空グループの「ジップエア」の他、日本の地方とタイを結ぶチャーター便も続々と就航するなど、期待が高まっています。 エアージャパンも4月30日から週6往復を週7往復へと増やす計画です。さらに峯口社長は「タイから見たときに、東京だけではなく関西に行きたいという人をキャッチする必要がある。関空空港に増やしていきたい」と話します。
タイ人観光客を増やしたい自治体のカギを握る“特使”
そのタイ人のインバウンド効果に各地の自治体も期待しています。山梨県北杜市もその一つ。八ヶ岳や南アルプスに囲まれた人口4万5000人ほどの町です。 雪景色を前に、カメラを構える女性の姿がありました。タイ人のアンチャリーポン・パリサウォンさん。あだ名はビウさんです。 その後も市内を回って写真や動画を撮影したビウさんが向かったのは、北杜市役所です。日本にも留学経験のあるビウさんは1月から市の観光課で本格的に働き始めました。北杜市から要請を受けたタイの外務省からボランティアとして派遣されたのです。 ビウさん、早速先ほど撮影した動画の編集作業を行います。北杜市が開設したタイ語のSNSなどに投稿し、母国タイに北杜市をPRするのが仕事です。 「北杜市にタイ人が来るように頑張ります」(ビウさん) 実は、山梨県に宿泊した訪日外国人のうちタイ人は延べ7万人と、台湾に次ぐ2位。ただ、多くは富士山が目当てで北杜市には回ってきていないのが現状です。 「景色も素晴らしい。美しい自然もある。タイ人は北杜市を好きになる。今まではPRがあまりなかった。私に任せてください」(ビウさん) そんなビウさんは8日まで北杜市長や同僚とタイのバンコクに出張し、現地のツアー会社を回るなどして、直接北杜市をPRしてきました。 出張に同行した上司は「ビウさんに伝えてもらったから説得力があった」と話し、ビウさんも「みんな北杜市に興味がある。新しい場所に行きたい」と話します。 ビウさんの派遣期間は1年間。北杜市はその発信力に大いに期待しています。 「タイ人にしかわからない感覚を教えてくれる。そこを武器に観光誘客に繋げたい」(北杜市観光課の田澤ゆかさん) ※ワールドビジネスサテライト