40代50代「更年期だけれど、ホルモン補充療法はちょっと抵抗がある」人が「最初にすべきこと」とは?
いまいち謎なのが「保険で処方される漢方薬」と「市販の漢方薬」の違い。本当のところは?
漢方薬というと中国のもののように思えますが、実は中国の古典的伝統医学を江戸期の日本が研究し独自発達させた、日本ならではの伝統医学体系です。医師が処方する薬と薬局で販売している薬は同じものです。 漢方薬は同じ処方名、たとえば葛根湯でも「医療用」「一般用」が存在します。同じ葛根湯でも承認時の典拠が異ったため生薬の含量が違い、大きく5通りの配合があるものの、基本的には一般用は「3/4量処方」など「比率は同じだが含有成分量が低い」製造で安全性をより高めています。「満量処方」とあれば一般用でも医療用と同じ配合量ですが、では満量ならばよいかというと、あくまで個人の証に合わせて補うためのものなので過剰はマイナスとなり、「諸説ある」のが漢方の奥深いところです。いずれにせよ大きな副作用はほとんどなく、西洋薬との併用もできます。 医療用漢方製剤は148種類で、その内訳は、146種類のエキス製剤と四苓湯、紫雲膏です。このほかに187種類の生薬(煎じ薬)を組み合わせて、保険適用もできますが、通常は自費での請求がほとんどです。エキス製剤は顆粒で、例えるならばスーパーで売っているレトルトカレーのようなもの。ロットによる違いはあるものの、品質を均一にし、ほぼ同じような中身に仕上がっています。一方、生薬は手作りカレーのようなものと言えるでしょう。なお、生薬を処方してくれる医師はそう多くはありません。 「生薬とエキス製剤のどちらがいいとは一概には言えません。コーヒーで言えばインスタントとレギュラーだと例えられることがありますが、レストランでもおいしい店に行けばおいしいし、まずい店に行ったらレトルトの方がよほどおいしいということもあります。良し悪しは使ってみないとわかりません」(新見先生)。 エキス製剤(顆粒)は煎じる必要がないので、誰もが気軽に始められます。婦人科系の不調に効果があるのは「加味逍遥散(かみしょうようさん)」(24番)をメインに、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」(23番)、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりゅうがん)」(25番)、「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」(61番)の3つが患者さんの体質に合わせて選ばれます。イライラが激しい場合は「抑肝散(よくかんさん)」(54番)などがプラスされることもありますが、大体は上記4種類でほぼ対応できるそうです。 服用するにあたって生理周期の1カ月くらいは様子をみて、あまり効果が感じられない場合は、上記の理由で別の会社のものを試してみるのもよいでしょう。 ここまでの前編記事では漢方がなぜ更年期治療に向くのかをお伺いしました。つづく【後編】では更年期に特徴的に起きる心のゆらぎについて、どう対応するかを伺います。
ライター 野添ちかこ