俳優・モデルの杏さんも子育て中…少子化対策の「優等生」フランス 経済支援や産休・育休制度…その具体的な施策と近年の“苦戦”の背景
ここ十数年は少子化対策に苦戦するフランス
ヨーロッパの出生率低下に歯止めをかけた「優等生」として知られるフランスですが、近年は苦戦が続いています。女性1人が一生の間に生む子どもの数を考える上で合計特殊出生率を見ることが多いです。合計特殊出生率は、2010年の2.03をピークに落ち始め、2023年には1.68まで落ち込みました。 なぜフランスの出生率が低下したかについては、さまざまな可能性が考えられています。高等教育を受ける若者が増加し、それに伴って晩婚化が進んでいることが大きな要因のひとつです。ロシア・ウクライナ戦争の長期化や気候変動問題による将来不安などが、出産をあきらめさせる一因となっているとの議論もあります。 少子化をできる限り食い止めるために、子育てを支援する政策を続けることは欠かせません。しかし、それと同時に重要なのが、子どもを産み育てやすい社会環境の整備です。経済的支援はもちろん、子育て世帯に対する社会全体の理解や、支援する雰囲気をどのように広めていくかが求められています。 ◆新居 理有(あらい・りある)龍谷大学経済学部准教授 1982年生まれ。京都大学にて博士(経済学)を修得。2011年から複数の大学に勤め、2023年から現職。主な専門分野はマクロ経済学や財政政策。大学教員として経済学の研究・教育に携わる一方で、ライターとして経済分野を中心に記事を執筆している。
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