今こそ日本とイギリスが関係強化すべき3つの理由
インド太平洋地域は、世界経済の牽引役を担っているが、一方、台湾問題や東シナ海、南シナ海で中国が強硬な海洋進出を行っている問題、北朝鮮問題などがあり、地政学的には極めて不安定な地域である。 ■歴史からみたインド太平洋は重要 実はイギリスにとっても、インド太平洋は極めて重要な地域である。17世紀までは、オランダが海洋貿易を支配していたが、18世紀に入るとイギリスが取って代わる。 フランスとの七年戦争(アメリカ大陸ではフレンチ=インディアン戦争、1756~1763年)での勝利、ベンガル州・フランス連合軍とのプラッシーの戦い(1757年)での勝利により、イギリスはアメリカ大陸やインドでの権益を大きく拡大した。
また、ロンドンの金融機能による強い財政基盤が貿易と戦争を支え、18世紀には海洋貿易の覇権は、オランダからイギリスに移った。 1770年代には、新大陸(南北アメリカ)とアジアとの貿易額が、ヨーロッパ諸国との貿易額を上回り、過半を占め、欧州からの離脱はこのときにも起きている。すなわち、当時のイギリスにとって、インド太平洋地域は経済の生命線であったということだ。 その後、インドから中国、当時の清にアヘンを輸出し、中国から紅茶を輸入するという三角貿易で巨額の利益を上げた。これが清とのアヘン戦争(1840~1842年)へ発展し、そして香港の英植民地化へと繋がっていったことは、よく知られている。
そして2024年、イギリスは再びインド太平洋に帰ってくる。CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)への加盟だ。 イギリスは、2016年の国民投票でEUから離脱を決めた。当時ジョンソン首相は、「グローバル・ブリテン」を目指すと宣言している。 それに伴い、イギリス外務省が外交方針を策定し、インド太平洋地域に重点を置くことが明記された。イギリスは2021年にCPTPPへの加盟を申請。2024年後半にも各国の批准を終えて正式加盟となる。