1on1の課題や不満を改善し、上司との1on1を効果的なものにするには?
1on1が注目されている背景とは?
1on1はGoogleやMicrosoftをはじめとする米国IT系企業で始まったことが起源とされていますが、日本ではヤフーが2012年に導入したことがきっかけで広く知られるようになりました。 一括採用・終身雇用主体の組織と異なり、キャリア採用が多い組織では人の流動性が高く、誰が何をできるのか、どんなジャンルに精通しているのかをいち早く共有することが重要になります。 いわゆる「know who」と言われるもので、「誰が何を知っているか」「何のエキスパートか」を迅速に知り、人と人、情報を結び付けることでスピーディーな事業展開が可能になります。例えば商談先で相談されたときに、誰がその情報に詳しいかわかっていれば、チャットツールを使ってその場で問い合わせられます。つまり、相談事を持ち帰らずに効率よく効果的に商談を進めることができるわけです。 現代のように事業スピードが速い時代に、GAFAM(近年はMATANA)など対話文化を持っている企業が、経済的優位に立っていることは、みなさんご存知の通りです。組織として対話文化を熟成させるためには、仕組みとして1on1が有効だと、改めて広く認識されるようになりました。 このような背景から、今や1on1ミーティングを導入している企業は約7割に達しています(※図1)。
1on1で期待できる効果・メリット
1on1を適切に行うことによって得られる効果には、次のようなものが挙げられます。 ◆個人の成長 1on1を通して、抱えている悩みや将来的なビジョンなどを共有、相互理解が進む対話を繰り返すことで、問題解決や気づきにつながり、個人としての成長が図れる。関係性の質が向上し、信頼関係が構築され、仕事へのモチベーションが高まる。 ◆組織の成長 組織のメンバー一人ひとりが成長し、相互の信頼関係が構築されることで、チームや組織のパフォーマンスが上がり、ビジネス的な成果につながる。 ◆組織が持つ課題の解決 メンバーが成長することで組織が成長し強くなり、その結果として、組織へのエンゲージメント向上や離職の軽減につながる。 得られる効果について、1on1が“適切に行われれば”と断り書きをしたことには理由があります。コロナ禍の影響でリモートワークが進み、マネジャーとメンバーが話す機会を作る必要性を感じた企業の中には、本来の目的や効果に対する共通認識がないまま、1on1の手法だけ導入し、義務感やプレッシャーの方が大きくなっているケースがあるからです。