「防弾チョッキ」のような腹筋を披露した消防士 「駆けつけた消防士の身体が頼りなかったら安心できないと思う」
「生き返った命を大切にして、自分が生きた証を残したいと思いコンテストに出場しました」 【写真】高山裕作選手の防弾チョッキのような腹筋 11月4日(月/祝)に千葉・市川市文化会館で開催されたマッスルゲート関東大会に出場した高山裕作(たかやま・ゆうさく/39)選手は、約10年前に大きな交通事故に遭い、意識不明の重体に。開頭手術を余儀なくされ、術後は文字の読み書きさえできず、周りからは助からないとの声も聞こえたという。
しかし、必死のリハビリで今大会では、メンズタンクトップとクラシックフィジークで優勝、メンズフィジーク176cm超級では2位に輝いた。事故前と比べると、動きの悪い部分など若干の後遺症は残るものの、しっかりと自分で把握し、対策を取ることで前向きに乗り越えてきたと力強く話してくれた。 「事故以降、色々なことに挑戦したいという思いが強くなりました。今日は妻と子どもが応援に来てくれたので、より一層気合の入るステージになりました。フルタイムで働きながら、私の仕事にも理解を深め、多くのサポートをしてくれる妻にはとても感謝しています」 仕事にも家庭にも常に全力投球な高山さんは現役の消防士。かつては消防士の甲子園とも呼ばれる消防救助技術大会で日本一を目指していたほどで、人の命を救うためにも日頃の鍛錬は欠かさない。 「もし自分の家が火事になって大切な人が取り残されていたとき、駆けつけた消防士の身体が頼りなかったら安心して任せられないと思います。国民の皆さんの信頼を得られる消防士になるという意味でも、現場で動ける身体づくりを日頃から意識しています」 コンテストは筋肉量が審査されるため、そのための筋肥大トレーニングを重点的に行ったが、普段は今自分に何が必要か、どんな体力や筋肉が必要かを考えてトレーニングをするという高山さん。 仕事と家庭の優先であるが故に、トレーニングの時間は限られる。しかし、限られた時間の中でもしっかりと考えて行うことで、自分に足りないものをどんどん補っていけるのが筋トレの魅力だと話してくれた。 「私の人生における挑戦の一つがコンテストです。今日は私の挑戦を家族が応援してくれましたが、次は妻や子どもの番かもしれません。家族の挑戦は私の挑戦でもあると思っているので、常に何かに挑んでいく前向きな家族でありたいと思っています」
【マッスルゲートアンチドーピング活動】 マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材・文:林健太 撮影:中島康介