事前に情報? ISは関与? スリランカ連続テロ いくつかの注目点
ISの犯行声明は本物の可能性が高い
ISは、事件2日後の4月23日、アマク通信を通じてスリランカのテロについて犯行声明を発出しました。同声明では、IS最高指導者のアブ・バクル・アル・バグダディへの忠誠を誓うスリランカ人の映像も含まれていました。当初は声明の真偽が取りざたされましたが、共謀者らが次々に逮捕され、事実が解明されていくにつれ、犯行を行ったのはスリランカの「ナショナル・タウヒード・ジャマ―ト」(NTJ)というイスラム過激派組織がISの影響を受け、何らかの支援も受けてテロを実行したらしいことが分かってきました。 報道によれば、スリランカからシリアに向かい現地でISに合流した外国人戦士(FTF)は32人おり、そのうちの何人かが帰国してテロを計画したともいわれています。事件の捜査が進んでくると、自爆犯のほとんどが高等教育を受けており、海外留学して学位を取得した者もいることが判明しました。さらには、スリランカでも有数の富豪の息子たちが犯人グループに含まれていたことが分かってきました。 標的の一つとなったコロンボのタージ・サムドラ・ホテルの爆破に失敗し、コロンボ動物園近くで自爆したジャミール・モハメドは、英国と豪州に留学した経験があり、留学中にISのリクルーターに勧誘され、洗脳・過激化されたようでした。 ジャミール・モハメドは、英国ではキングストン大学で航空宇宙工学を学びましたが、英国留学中の2年間は過激化を許さない厳しい校風のため、過激派に影響されることはなかったようです。しかし問題は、2009年から2013年まで留学生活を送った豪州・メルボルンでのISとの出会いでした。メルボルンのスウィンバーン大学で修士コースを受講しましたが、同人の帰国後に妹が語ったところによれば、「豪州から帰国した兄はまるで別人になっていた。髭を伸ばし、ユーモアも言わず、他人に笑顔も見せなくなるほど変わってしまった。異常なほど宗教に傾倒していた」とのことでした。 ジャミールが過激化したのはメルボルンでISのリクルーターに洗脳されたためといわれています。ジャミールは、帰国後、NJTリーダーのザハラン・ハシミらと仲間を扇動し、テロを計画したと考えられます。なお、警察がNTJの容疑者の家宅捜索を行った際、大量の爆弾材料と殺傷力を増すための金属片が発見されています。こうした状況から判断して、ISがNTJに対して資金や技術の援助を行ったことは確かでしょう。