《ブラジル》ペナルティキックのボール胸に直撃受け少年死亡 「10万人に一人の特殊な事例」とも
アマゾン川中流、アマゾナス州都マナウスから西に356キロ離れたパリンチンス地方マウエス市のムクラ川沿いナベガンテス地区で5日、サッカーのトーナメント試合中にゴールキーパーを務めていたエジソン・ロペス・ガマさん(16歳)がペナルティキックのボールの直撃を胸に受けて死亡した。CNNブラジルやグローボ、地元ノルチ・アマゾナスTV局など現地メディアが報じた。 事故は6日深夜1時ごろに起きた。その場に居合わせた目撃者は、その場でエジソンさんの蘇生を試みたが命を取り留めることができなかったと話す。 少年の姉妹エリジア・ロペス・ガマさんによると、エジソンさんが病院に着いたのは事故発生11時間後の12時15分だったという。処置が遅れた原因として、事故が発生した地域は都市部から離れており、しかも河川が干ばつで、病院がある町まで運ぶのが困難だったことがある。 事件映像を報じる地元メディアのSNS投稿はこちら
遺族は死因を確認するため、医師の診断結果を待っている。エジソンさんは特に心臓疾患はなかったが、今回の試合の際は始まる前から胸に痛みがあると訴え続けていたという。そのため、胸の痛みに関係する部位にボールが偶然ぶつかってしまったか、今までの打撃の蓄積が原因だと考えられる。 エリジアさんは、以前からトーナメント戦中に少年がボールを胸で受けていた蓄積で今回、亡くなったのではないかと疑っている。 エジソンさんの胸にボールが当たり、地面に倒れて助けを求める瞬間が撮影され、SNSに投稿されている。 この動画をSNSにあげた「Maués 24 horas」には多くのコメントが寄せられた。ジョゼ・オランダさんから「このトーナメント戦ではゴール位置とボールを蹴る距離に規則を定めるべきだ。プロの試合と比較にもならない試合だ」と注意を喚起するコメントがされていると地元メハダル・アマゾニコ(RADAR AMAZONICO)が取り上げた。 エリジアさんは「エジソンは負傷しても、毎回欠かさず試合に参加し、ボールに人生を注いでいたが、皮肉にもボールが彼の命を奪った」と悲しんだ。 エジソンさんの死に遺族は動揺しており、特にエジソンさんの母親は立ち直れないでいるという。エリジアさんは「エジソンと母はいつも一緒にいました。それにエジソンは、愛情深い少年で愛されていました」と語った。 8日付アマゾナス州のテレビ局「R7」ニュースは心臓科医コッタ・ジュニオル氏に取材し、「心臓疾患の初期症状がある部位に、電撃的なショックが加わった場合に心臓停止が起こることがある。世界中のサッカー選手10万人に一人程度の非常に稀な事例」と解説した。 エジソンさんは7日10時に、彼が住んでいた地域に埋葬された。