たった4年間でチケット購入者層トップが40代から20代に…千葉ロッテマリーンズが若者に支持される理由【FRONTIER OF SPORTS】
【国内スポーツ・ニュース】スポーツ・チャンネル『DAZN(ダゾーン)』では、スポーツビジネスに特化したコンテンツ『FRONTIER OF SPORTS(フロンティア・オブ・スポーツ)』のエピソード9が8月28日に配信スタート。今回は千葉ロッテマリーンズが進める集客戦略に迫った。 【動画】なぜ若いファンが増えた? 20~30代ファンを熱狂させる戦略とは… DAZNによるスポーツビジネスコンテンツ『FRONTIER OF SPORTS』エピソード9の配信が8月28日にスタートした。今回は株式会社千葉ロッテマリーンズで代表取締役社長を務める高坂俊介氏がゲストとして登場。2014年からの10年間で観客動員数が約143パーセント増、2023年には過去最高記録を達成と急成長を遂げている球団のトップが、特に若い世代から支持を集めている理由を明かした。 ロッテは直近10年間で最も集客で成長している球団の一つだ。年間の観客動員数は2019年に当時過去最高となる166万5891人を記録し、コロナ禍を経た2023年にはいきなり180万3994人と記録を塗り替えた。2018年に球団単体で初となる黒字化に成功後、中長期的な成長戦略を策定し、2021年には球団理念を発表。それらをベースとしたさまざまな取り組みの結果、20代や30代のファンが急激に増えていると高坂氏は語る。 「(首都圏において)古くから存在している(読売)ジャイアンツさん以外の球団は、マスメディア的なファンの増やし方は難しい。地方球団はローカルメディアを通してマスメディア的なファンの増やし方ができる」と球団が置かれた状況を語る高坂氏。では、どのようにファン層の拡大に取り組んでいるのだろうか。 ロッテが取り組んだのはデータ分析やインタビュー、ターゲットとなるペルソナの設定とそれらへのアプローチ、徹底したブランドマネジメントだった。そのペルソナの一つが「アクティブアラサー」。グループで来場し盛り上がる20代から30代の人たちを指す。 そういった層へのアプローチにあたり、これまで各分野の裁量でばらつきのあったものを「マリーンズの世界観」として統一して打ち出すために、新たにマーケティング部門を設置。チームカラーの徹底やSNSや広告運用、「BLACK SUMMER WEEK」と題した象徴的なイベントの開催など、細部に落とし込んでいった。 会場演出は「勝っても負けても楽しかった」と思えるようなものから、「ファンとチームの熱量」と再定義したマリーンズらしさに基づき「チームが勝つための応援を後押しするもの」に変更。スポーツ観戦の会場ではおなじみとなっている選手プロデュースの飲食メニューについても、各選手のファン層を分析した上で、ターゲットが好むものと選手の好きなものを組み合わせて商品開発を行っているという。 SNSでは世界観や中継では伝わらないチームの裏側を発信することを重要視。SNSでの広告運用でも「◯月◯日に試合があります」「この日は来場者にユニホームがプレゼントされます」といった直接的なものではなく、球場の雰囲気や観戦体験のイメージなどを、洗練されたグラフィックや動画を使って伝えるものを中心としている。「世界観を訴求していったほうが、ファンの方々の潜在的にある『来場するかもしれない』という感覚に訴えることができる」と高坂氏は語る。実際にこういう運用でチケットやグッズの購買が増加しているという。 こうした取り組みが功を奏し、観客動員数に加えて売上やチーム強化費もコロナ禍前の2019年比で30パーセント以上成長。チケットの購入者の割合は、40代がボリュームゾーンだった2019年から、4年間で20代がトップと大きく構造が変化した。20代のチケット購入者は約30パーセントを占め、2位の40代に10パーセント弱の差をつけている。 高坂氏は若い層の支持を獲得できた要因について、ロッテが培ってきた文化やポテンシャルがマッチしていたと分析。「熱量の高い応援スタイルを含めた(ファンの)文化が、20代や30代の若い層と相性が良かったというのはある」。ファンと球団の歴史を見つめ直し、打ち手として磨き上げたことが、新たなファン層の獲得につながっていると語った。