ランニングに「80:20ルール」を取り入れるには?
ランナーがトレーニングを組み立てるとき、よく参考にするのが「80:20ルール」です。ただし、似た別名をもつ「パレートの法則」とは関係ありません。 今回は、ランニングの世界で80:20ルールが提唱されるようになったのはなぜか、具体的にはどう実践すればいいのか。そして、80:20ルールが適している場合と、そうでない場合について、説明していきましょう。
ランニングにおける80対20ルールとは?
80対20ルールとは、簡単に言うと、ランニングの80%は低強度で走り、残り20%のみ、中強度または高強度で走るという考え方です。 私や皆さんのような「趣味レベルのランナー」はたいてい、50:50に近い配分で走っています。 ランニングにおける80:20ルールを世に広めたのは、Matt Fitzgerald氏による2014年の書籍『80/20 Running』(未邦訳)です。そして、同氏が80:20ルールを提唱するうえで参考にしたのが、Stephen Seiler氏の研究です。 Seiler氏は、長距離走や自転車競技、クロスカントリースキーなど、持久系スポーツのエリート選手が、トレーニングセッションの約80%を、レース本番よりかなり低い強度で行っていたことを明らかにしました。 これはつまり、速く走るためのトレーニングでは、遅いスピードで、たくさんの距離を走らなければならないということです。 低強度80%、高強度20%という配分が、レースでベストタイムを達成する方法だというのが、Fitzgerald氏とSeidler氏の考えです。
低強度を80%にするにはどうすればいいのか?
科学的研究で広く用いられる「低強度」の定義には、心拍数以外の指標も含まれます。 ランニング中に、息切れせずに会話が続けられるようなら、VT1未満です。トレーニングの80%が、このくらいの状態でなくてはなりません。 ただ、この説明では、データを重視する人にとっては情報として不十分でしょう。Fitzgerald氏の著書によると、このレベルは、エリート・アスリートでは最大心拍数の77~79%あたりに相当する場合が多いようです。