2025年AIに関する予測 3:いよいよAIが「AIを生み出す」、人間を欺く
資金を得るために最先端ラボがアプリ開発にフォーカスする
■8. OpenAIやAnthropicなどの最先端ラボが「スタックの上位」に進出し、アプリ開発に力を入れる 最先端モデルを生み出すビジネスは、大変厳しい分野だ。 膨大な資金を要し、先端モデルを手掛けるラボは桁外れの資金を燃やしている。OpenAIはつい数カ月前に記録的な65億ドル(約1兆円)を調達したが、今後さらに資金が必要になる見通しだ。AnthropicやxAIといったプレイヤーも同様である。 さらに、ユーザーにとってモデルを切り替えるコストはそれほど高いものではなく、ロイヤルティ(忠誠度)も低い。アプリケーションがモデルに依存しない構造になっていれば、コストや性能の比較次第で、OpenAIからAnthropicに簡単に乗り換えられる。 また、メタのLlamaやアリババのQwenのようなオープンモデルが登場したことで、技術がコモディティ化するリスクも高まっている。 OpenAIやAnthropicなどは先端モデル開発をやめることはできないし、やめるべきでもない。しかし2025年は、より高い利益率・差別化・忠誠度を狙えるビジネスを構築するため、これらのラボが自社アプリケーションや製品ラインを強化する動きが大きく加速するとみられる。 もちろん、先端ラボの成功例としてはChatGPTがすでに存在する。 では2025年に、彼らがどんな自社アプリケーションを展開する可能性があるだろうか。 たとえば、より洗練された多機能な検索アプリケーションが考えられる。OpenAIが取り組んでいるとされる「SearchGPT」はその一端を示唆する。 コーディング支援も有望分野だ。OpenAIが2024年10月にデビューさせた「canvas」は、その始まりに過ぎないかもしれない。 2025年には、OpenAIやAnthropicがエンタープライズ検索やカスタマーサービス、法務支援や営業支援向けのAI製品をリリースしても不思議ではない。一般消費者向けには、パーソナルアシスタント型のウェブエージェントや旅行計画ツール、音楽生成アプリなどが想定される。 興味深いのは、ラボが自らアプリケーション開発に乗り出すことで、検索ならPerplexity、コーディングならCursor、カスタマーサービスならSierra、法務AIならHarvey、営業ならClayといった大切な顧客層と直接競合する構図が生まれる点だ。