家庭用コンセントで充電 プラグイン・ハイブリッド車とは?
具体的なコストの差は?
さて、電力のコストは果たしてどのくらい違うのだろうか? 以下、トヨタ自動車の発表値に基づいて計算してみる。プリウスのプラグイン・ハイブリッドの場合、バッテリーが満充電ならエンジンを使わずに26.4キロ走れる。バッテリーが空の状態から、東京電力の深夜プランを使って満充電にする場合のコストは約35円。つまり1キロあたりの走行コストは約1.3円となる。 もう一方、非プラグインのプリウスの国交省届け出燃費は30.4~32.6キロ/L。最高値の32.6キロ/Lをベースにガソリン価格を150円/1Lで計算してみると、1キロあたりのコストは約4.6円。 前述の様にデータはメーカー発表値に基づいているので、実際にはそんな距離は走らない。筆者の経験によれば都内でそこそこ低燃費を心がけた場合、プリウスはだいたい20km/Lくらいなので1kmあたりコストは7.5円ほどである。もちろんプラグインの方も冷暖房などの使い方によって走行距離が変化するので1.3円というコストは絶対ではない。フェアに見るために仮に走行距離が半分になったとしてもそのコストは約2.6円。仮に毎日10kmの通勤に使うなら、双方理想的な状態で13円:46円、現実的な状況で26円:75円と大きな差がつくことになる。 ただし差がつくのは最初の充電分を使いきるまでだ。マイボトルの水が空になったら、そこからは普通のハイブリッドになる。「なんだ最初だけかぁ」と思う人も多いと思うが、最初の1本が安いことは初乗り運賃が安いのと同じで、毎日確実に効果がある。一度に100キロ以上走るので無い限りはっきり差がでるだろう。
もっとも現実的な「次世代エース」
ここまで読んでいただけば解る様に、プラグイン・ハイブリッドは実体として実は電気自動車に近い。電気自動車の場合バッテリーが切れたらどこかで充電するまで動けないが、プラグイン・ハイブリッドの場合はバッテリーが切れても燃料がある限り移動の自由が失われない。そこにプラグイン・ハイブリッドの圧倒的な強みがあるのだ。 この様に2014年現在普及している自動車としては、低運用コストと利便性をもっとも高いレベルで両立しているプラグイン・ハイブリッドだが、高級車なみの車両価格や充電インフラなどまだまだ課題も多い。そうした問題が解決されれば急速に普及する日がやってきそうだ。 (池田直渡/モータージャーナル)(動画制作:TOMOニュース)