京都・三条新町にある老舗寿司店の名物は、錦糸玉子がこんもりと美しい「ちらし寿司」
門上さん「何かの雑誌でちらし寿司を見て訪れました。一面錦糸玉子がびっしり敷き詰められたビジュアルと、その下に潜む魚の味わいに感銘しました。」
これぞ名物のちらし寿司!
均一で美しい錦糸玉子をたっぷりとまとったちらし寿司(1,700円)。供されたときには一面黄色で魚介の姿は見えないが、食べ進めると次から次へと出てくる。食べ応えのある厚みにそぎ切りした、マグロ、鯛、はまち、穴子、たこ、イカと鮮度のよい魚介が存分に楽しめる。魚介の上にはややゆるめに仕上げた醤油ベースのツメがたっぷりとはけで塗られ、魚介と錦糸玉子、すし飯が一体化する。魚介の甘みを引き立てるよう、錦糸玉子は塩のみで味付けされているそう。
門上さん「錦糸玉子の下には、はまち、穴子、鯛など鮮度のいいものが並びます。錦糸玉子は塩のみで味付けされ、甘みを排除しています。」
鮮度が身上の握りはお好みで
「お客さんの中には、ちらしを食べたあとに、1、2貫つまむ人もいらっしゃいますよ」と健吾さん。10時と早く店を開けていることについては「かつては展示会で50食など多くの昼の仕出しの仕込みをしながらの営業が多かったですが、今は外国人観光客の方々が早い時間に来てくださっています。みなさん上手にお箸を使って食べてくださいます」と。
門上さん「ちらし寿司と握り数貫という食べ方もおすすめです。」
「これからも変わらず同じものを求めて来られるお客様に応えられるように、いつ来ても同じ味を作り続けたいです」と西村さんは話す。丁寧な仕込みに時間をかけ、85年間と長く守り続けているちらし寿司。一度食べに訪れるべき値打ちは充分にある。
門上さん「ここのような街にある寿司屋は減ってきているので、ずっと長く続けていってほしいですね!」
撮影:福森公博 取材、文:木佐貫久代