原油続伸、ブレント75ドル超-イスラエル首相が報復示唆で供給不安
(ブルームバーグ): 2日の原油先物相場は続伸。イランに約200発の弾道ミサイルで攻撃されたイスラエルのネタニヤフ首相は報復を示唆しており、中東からの原油供給が一段と脅かされている。
北海ブレント先物は一時1バレル=75ドルを超えた。1日にイランがイスラエルを攻撃した後には、5%余り上昇する場面もあった。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)も上昇し、72ドルに迫った。ただ前日に付けた高値にはなお届いていない。
原油先物相場の上昇は、原油の新たなリスクプレミアムを投資家が織り込み始めたことを反映している。中東は世界全体の約3分の1の原油を供給している。紛争のエスカレートを受け、債券や金、ドルなどの安全資産も上昇した。
イスラエルとイランは約1年前にイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃して以来対立しているが、これまでの原油急騰は、石油生産に実際に支障が生じなかったため短期間で終わっていた。石油輸出国機構(OPEC)によると、イランの8月の石油生産量は日量約340万バレル。
RBCキャピタル・マーケッツはリポートで、イスラエルとイランの双方でエネルギーインフラが標的になる可能性があると指摘。イラン最大の原油積み出し港、カーグ島が狙われる恐れがある一方、イランとその代理勢力は「現在の危機が全面戦争に発展した場合に、被害を国際的なものとするために」エネルギー操業拠点を攻撃するかもしれないとの見方を示した。
親イラン民兵組織ヒズボラの指導者だったナスララ師が先週殺害されたことで、中東の緊張は著しく高まった。イスラエルは9月30日にベイルート中心部を空爆し、レバノンへの地上侵攻を開始。これに対しイランは1日、イスラエルを弾道ミサイルで攻撃した。
この攻撃後、イランのアラグチ外相はイスラエルが「さらなる報復を招くような決定」をしない限り、イランの軍事行動は完了したとX(旧ツイッター)に投稿したが、イスラエルのネタニヤフ首相は「イランは今夜、大きな過ちを犯した。その代償を払うことになるだろう」と発言した。