阪神の藤川球児監督、座右の銘は「球進一歩」 球団創設90周年、足元を見つめて一歩ずつ
プロ野球阪神の球団創設90周年の幕が開けた。藤川球児監督がいよいよ船出の時を迎える。2025年は「乙巳(きのとみ)」の年。「再生と変化」を意味するという。熾烈(しれつ)な優勝争いをしながら涙をのんだ昨季からの覇権奪回に、ふさわしい年ともいえる。掲げた座右の銘は「球進一歩」。着実に一歩ずつ、前進していく。 座右の銘は、2代目ミスタータイガース村山実氏の言葉を引き継いだ岡田彰布前監督(現オーナー付顧問)の「球道一筋」から熟考した。現役時代、戦力外寸前から一流選手に育ててくれた恩師であり、今も「監督」と呼んで慕う、理想のリーダー像でもある。 《僕は(新人時代の)入団会見で、村山実さんみたいな投手になりたいと言い、そこから岡田監督に育てていただいた。新たに考えた座右の銘は、「球道一筋」から2つ(の文字)を抜いて、「道」を「進」、「筋」を「歩」とした「球進一歩」。「道を進む、一筋を一歩ずつ」という意味を込めた。いつか、タイガースの言葉として、残っていけたら》 奇縁に導かれるように名将の後継者となった。だが、重圧も気負いもない。 《能力のある首脳陣、年齢層も若く、力のある選手、スタッフがいる中で、(僕が)監督を預からせてもらうことへの感謝の方が大きい。チーム作りは滞ることなくできると思う》 核となるのが、今オフ国内フリーエージェント(FA)権行使も、残留を決めた大山悠輔だ。リーダーシップだけでなく、出塁率の高さや定評のある守備のハンドリングなど、全てにおいて頼もしい存在だ。ここにたどり着くまでの努力や苦労も十分理解している。 《(何もかも)与えられて出てきた選手ではないからこその力強さを持っている。彼は40歳を超えても現役ができると思う。(成し遂げるだけの)取り組む姿勢、基礎がある》 結果次第では容赦のない批判にさらされる可能性もある。人気球団の宿命だが「一過性のもの」として意に介さない。そのマインドを培ったのは、米大リーグから日本の独立リーグ入団を決めた頃。人生の中で最も大きな「一歩」だった。 《あの決断は「欲」を捨てるということでもあった。欲とは、人からの承認(欲求)を捨てること。捨てたことで全然変わった。全てが楽しくなった。でも、それはベテランの域に入るというか。僕たちは勝負の世界にいる。選手たち(の勝負へのこだわり)は強くあってほしい》