武家屋敷群にお茶の店、石垣を見ながらゆったりと…妻の出身地に出店「お茶の魅力や可能性伝える場所に」
国の重要伝統的建造物群保存地区・出水麓武家屋敷群(鹿児島県出水市)の一角に、茶やスイーツを楽しめるお茶の店「茶ノ花」がオープンした。店を切り盛りする川村洋太さん(31)にお茶に対する思いや、武家屋敷群に出店した狙いを聞いた。 【写真】「日本茶」飲み方変えれば新たな魅力…玉露のマティーニ、ワインで抽出した煎茶
――江戸時代の面影を残す武家屋敷群は出水市を代表する観光スポット。今月2日に開業した今の思いを。 「10月末まで地域おこし協力隊として、お茶を生かした観光促進を手がける一方、毎週日曜日に近くの商店街の喫茶店を間借りして、お茶を提供したり、茶葉を販売したりしてきた。お茶好きの方が来てくれたり、取引が生まれたりした」 「観光シーズンの春や秋は武家屋敷群を訪れる人が多いが、拠点の出水麓歴史館を見て帰る人が多い。茶ノ花でお茶に触れ、『来て良かった』と思ってもらいたい。また、『武家屋敷群でこんなことができるんだ』と知って、ほかにも店を出したいという人が出てきたらいい」
――オープンに際してこだわった点は。 「ここは武家屋敷群の中心部。昔ながらの石垣を見ながら過ごせるように、外に向かって座れる席を設けた。お茶は南九州を中心に仕入れ、店の敷地内で仕上げて販売している。店内では緑茶のほかに国産の紅茶、ウーロン茶なども楽しめる」 「妻が担当するスイーツには、お茶を利用したチーズケーキやスコーン、あんみつなどもある。『どうやったらおいしくお茶をいれられるのか』など色々聞いてもらいたい。開業資金は地域おこし協力隊の創業支援などを活用したが、壁や天井などは自分で塗った」
――お茶に興味を持った経緯を。 「大学を中退してお茶を扱う会社に勤めたのがきっかけ。次第に興味を抱き、いつかは自分の店を持ちたいと思うようになった。知識を深め、視野を広げるため台湾に行き、お茶を提供する店で働いた。帰国後は宮崎県五ヶ瀬町の茶農家に住み込んで学んだ。茶の味や香りは、育つ風土や加工の仕方などで違ってくるところが面白い。一つとして同じお茶はないので一期一会という気持ちだ」