「何かやばい病気かも……」いつもと違う「肩こり」で女性が抱いた“嫌な予感” たかが肩の痛みと“あなどってはいけない”ワケ
■鈴木さんが今、気をつけていること 鈴木さんは今、「二度とあのような思いをしたくない」と、気をつけていることがある。“トイレで排泄したあとのおしりの拭き方”だ。 腎盂腎炎の原因となる細菌の80%は大腸菌、20%は尿の出口付近に常にすみ着いている細菌だ。大腸菌は肛門付近に集まっていて、便の排泄時に肛門から前に向かって拭くと、大腸菌が膀胱に侵入しやすい。このため、予防策として「前から後ろに向かって拭くこと」が勧められている。
もう1点は、“尿の色に気をつける”ということ。 腎盂腎炎では血尿が出るため尿が赤っぽくなることも多いが、普段、自分の尿を見る習慣がなかったため、異変に気づかなかった。クリニックで尿検査をしたとき、尿が「鮮やかなブラッドオレンジ」(鈴木さん)になっているのを見て、驚いたという。 「みなさんも、いつもと違う痛みや尿に変化があったら、要注意。我慢せずに早めの受診をお勧めします!」(鈴木さん) ■総合診療かかりつけ医・菊池医師の見解
総合診療かかりつけ医できくち総合診療クリニック院長の菊池大和医師によれば、「腎盂腎炎は年間を通じてよく見られる病気」だ。 鈴木さんは女性だったが、菊池医師のクリニックでは、男性患者も少なくないという。男性がなりやすい「尿路結石」も腎盂腎炎のリスクだからだ。尿路結石は腎臓から尿道までの尿路にできる結石の総称だ。尿路で石が詰まるとしばしば激痛をともなう。 ただし、最初から腎盂腎炎を疑って受診する患者はほぼいない。「これまで感じたことのない腰痛や背中の痛み+高熱」のセットで、「どこか悪いのではないか?」とやってくる。
■自分でできる予防策は大きく3つ 診察では患者が痛がる部分を医師が「叩いたり、押したり」する触診が行われる。「このとき、内側にひびく感じがあるかどうかがポイントです」(菊池医師)。 ズンとひびく感覚があるのは、炎症を起こしているほうの腎臓に刺激が伝わるためという。加えて発熱があれば、ほぼ腎盂腎炎と診断がつく。 確定診断には腎臓のCT検査が欠かせない。CTにより画像を撮影することで、腎臓の炎症の程度はもちろん、どちらの腎臓で病気が起こっているかが判明する。このため、クリニックにCTがない場合、医師は検査体制の整ったクリニックや病院を紹介するという流れになる。