松下奈緒&小雪、『スカイキャッスル』は特別な経験に “強いセリフ”を言い続ける苦労も
恐ろしさを感じながらもついつい観てしまう……。今期最も中毒性のある展開で視聴者を引き付けているのが、テレビ朝日系木曜ドラマ『スカイキャッスル』だ。 【写真】松下奈緒&小雪 撮り下ろしカット(全2枚) 本作は、韓国で大ヒットした『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』のリメイクで、高級住宅街「スカイキャッスル」を舞台に、子どもの高校受験や夫の出世競争で火花を散らす女性たちの“ドロ沼マウントバトル”が描かれる。 プライドを賭けた壮絶バトルの中心にいるのが、スカイキャッスルでもボス格の浅見紗英(松下奈緒)と、紗英の娘・瑠璃(新井美羽)を受け持つ受験コーディネーターの九条彩香(小雪)だ。 ドロドロした作風とは裏腹に「現場はすごく和気あいあいとしている」と語る小雪。複雑な関係性を演じる松下奈緒と小雪に、本作ならではの苦労や面白さについて聞いた。(編集部)
役柄はドロドロ、でも現場は和気あいあい
――日々、どんなお気持ちで撮影に臨まれていますか? 松下奈緒(以下、松下):もう毎日、大変です(笑)。紗英はすべてに一生懸命であるがゆえに、目の前のことしか見えなくなってしまう。周囲に振り回されながらも、自分の幸せを叶えるために日々いろいろなことに奮闘しているので、気持ちが追いついていかないくらいに忙しいですね。 ――かなりエネルギーを使いながら撮影されていると。 松下:子どもたちのパワーもすごいし、九条先生には何を言ってもサラッと流されてしまうというか。感情を表に出さずに紗英をうまく動かしていく方なので、1人で立ち回らなければいけないシーンが多くなると、やっぱりエネルギーがいりますよね。 小雪:韓国ドラマには、深みにハマる面白さがあるじゃないですか。原作がすごく力のある作品なので、その要素を取り入れつつ、日本の文化を考慮したときに「落としどころをどうするか」はこのドラマの難しさであり、楽しさでもあります。ただ、とにかく観たことも聞いたこともないセリフが多いんですよ。 松下:そうですね、本当に(笑)。 小雪:1行1行、一つ一つ、「こう言ったら、普通はこうだよね」というものが通用しない。私たちの感覚にはない会話が繰り広げられています。 松下:だから、1回セリフが止まっちゃうと自分では挽回できないんですよね。普通の群像劇であれば近い言葉を言ってまとめられるけど、セリフ通りに言わないと成立しないやり取りがたくさんあって、それはこのドラマならではだなと思います。 小雪:それが作品の風合いでもあるしね。なので、どこのタイミングでテレビをポチっとつけても「すごくシリアスな、ドロドロしたドラマなんだな」とおわかりいただける、憎悪に満ちた作品になっていると思います(笑)。現場はすごく和気あいあいとしているんですが、私たち演者はいつも「えーなんだっけ……こんなセリフ初めて言うな」みたいな(笑)。 松下:あははは(笑)。口が慣れていないので、慣れるまでに時間がかかるんですよね。 ――女性の多い現場だと思いますが、ふだんはどんなふうに過ごされていますか? 松下:本当に明るい現場だと思います。「よーい」と言われるギリギリまで喋っているので、毎回「どこからだっけ?」って(笑)。 小雪:みんなで喋ってるから、わからなくなっちゃうんだよね(笑)。決して不真面目なわけではなくて、その瞬間を楽しむようにしないと、シリアスな場面ばかりなのでしんどくなってしまうんです。ドラマの中には、普通に笑い合うようなシーンは一切ないので。 松下:本当に笑顔になることがないです。たとえ笑っていても、その裏は……ということが多いかもしれないですね。 ――松下さんは主演を務められていますが、やはり“楽しく”ということを意識的に心がけているのでしょうか。 松下:そうですね。せっかくこのドラマにみなさん携わっていただいているので、私自身、「楽しまなきゃ損だな」と。そのくらいの気持ちでいなければ、やっぱりお芝居も思い切れないと思うんです。置いてきぼりになるのではなくて、役としても、自分としても全力で楽しみたい。それが今本当に叶っているし、そういう環境をみなさんが作ってくださるので、とても居心地がいいです。 ――これまでの撮影で、特に苦戦したり、印象的だったシーンはありますか? 小雪:ずっと苦戦していますよ(笑)。九条先生は物語の軸を作っていかなければいけないキャラクターでもあるので、最後までゴールがない役だなと思っています。でも、紗英も振り回される役だから大変だよね? 松下:いろんな人とぶつかっていくので、すごく大変です。なかでも一番ビックリしたのは「あなたみたいな偽善者、私一番嫌い」というセリフですね。「偽善者」という言葉が衝撃的で、「ここで言うのか!」と思いました。言い方次第でいかようにも受け取れる言葉なので、「これは流れるように言ったほうがいいですか? それとも、ちゃんと区切って伝えた方がいいですか?」と監督に相談させてもらって。そんなパワーワードがこの作品にはたくさんあるので、一つ一つのワードに注目していただくのも面白いかなと思います。 小雪:九条先生はワードだらけです。“相手を落とすためのセリフ”はトップ20くらいあります……いや、もっとあるかもしれない(笑)。人格否定もするし、差別もするし、ジャッジもするし、すごいですよ。 松下:でも、そこに説得力があるから、紗英は受験コーディネーターとして(拝むようなポーズで)「はぁぁ」と心酔しているんですよね。 小雪:世界観があるからね。正しいと信じてやまない信念があるので、九条先生のセリフはほとんど強いです。曖昧なお答えはしません!(笑)