松下奈緒&小雪、『スカイキャッスル』は特別な経験に “強いセリフ”を言い続ける苦労も
松下奈緒「今までのドラマとは違う筋肉を使っている」
――強いセリフを言い続けるというのは、どんなお気持ちなのでしょうか? 小雪:常に適度な緊張感を持っていないと難しい役柄だと思います。リラックスしすぎてもよくないし、緊張しすぎてもよくないので、それが面白さの一つではありますね。内容的にはずっと受験の話をしているので、物語が流れているようで、意外と同じところの話ばかりしているんです。こういうやり方や取り組みも初めてですし、もう進んでいくしかないな、と思っています。 松下:みんな後ろを振り返らないですよね。前しか見ていない人たちがこんなにも集まっているドラマは、なかなかないなと思います。本当に毎日、「みんな必死で生きてるんだ!」と感じています。 ――おふたりのキャリアをもってしても、経験のない現場なんですね。 小雪:日本には、相手を誹謗中傷するにしても比喩的な表現をしていく文化があるので、こんなにダイレクトに人を貶めるセリフばかり吐くことはないですね。しかも、次のシーンでは普通に「どうされますか?」と会話をしていたりもして。 松下:紗英も九条先生に頭を下げてお願いしたかと思いきや、すぐに「あなたみたいな人は!」と言ったり。本当に感情のアップダウンがすごいんです。 小雪:シーンによって、どんどん変わるんですよ。「自分たちにとってプラスになる人か」「プラスになるシチュエーションか」という計算で人生を切り拓いていく人たちなので、深く考えるとよくわからなくなってきます(笑)。なので、“こういう世界の話”として楽しんでいくしかないなと思いますね。 松下:そうですね(笑)。そこがまた、今までのドラマとは違う筋肉を使っている感じがして面白いです。 ――そんな本作を通して、改めて俳優業の魅力を感じるようなこともありますか? 小雪:正解がないので、勉強するところがたくさんあります。自分の苦手な境地を知ることもできるし、「こんなことで動揺するんだ」と気づくようなこともあって。私は動揺しない役なので、自分の中で「ハッ……私、動揺してる」と気づいた瞬間は、ちょっと焦ったりもします(笑)。 松下:そんな瞬間、あるんですか? 小雪:ありますよ(笑)。奈緒ちゃんが喋ってるときに、ハッとして「次のセリフなんだっけ!?」と思うこともいっぱいあります。 松下:よかったぁ、そういうところがあってくださり(笑)。 小雪:でも奈緒ちゃんは、顔に出るんですよ。だから、「あ、今わからなくなってきてるな」というときがあります。 松下:バレてる!(笑) 小雪:だけどやっぱりプロですし、根性もあるので先に進めてくれるんです。 松下:どうやってでも、最後まで行き着こうとするんですよね。でも、それが顔に出てるっていう……見られているんだな、と思いました(笑)。 ――(笑)。松下さんは、あらためて感じる俳優業の面白さはいかがですか? 松下:こういう役柄は今まであまり経験がなかったですし、これだけ女優のみなさんが集まることもそうそうないので、勉強になることがたくさんあります。さっきまでケラケラ笑っていたのに、「よーい」と言われた瞬間にみんなスパッと切り替わるので、自分の中でもボルテージがカッと上がる。その感覚が、どのシーンでもあるんですよね。そんな自分を改めて実感できる、ありがたい現場だなと思っています。 ――このドラマでは、自分と他人を比べることで生まれる嫉妬心も描かれます。最後に、おふたりがそういった感情とどう向き合っているのか教えてください。 小雪:奈緒ちゃんには、そういう感情がないよね? 松下:ないんです(笑)。 小雪:すごいんですよ、真の成功者です(笑)。 松下:いえいえいえ(笑)。でも、「嫉妬をしてもいいことがないな」と思っているところはありますね。もちろん、小さなことではたくさん嫉妬しますよ? うちの犬が私には懐かないのに、トリマーさんにものすごく懐いているのを見ると、「私じゃないんだ」とか(笑)。そういう小さなことはたくさんありますけど、大きなことではあまりないかもしれないです。嫉妬をしても自分にプラスになることがないとわかっているので、「私は私」と思ってやるしかないなと思っています。 小雪:私は、体調が悪いときにいろいろと考えるかな。やっぱり「心技体」という言葉があるように、体調がいいと心もあまりブレないでいられるし、疲れが溜まったりするとネガティブなことも考えやすいですよね。それは“体の声”でもあると思うので、そういうときには「ああ、体が疲れているんだな」って。「ちょっと休まないといけないな」「もう少し自分主体に生きないといけないな」と、自分に寄り添うようにしています。
nakamura omame