自民半導体議連の山際会長、ラピダスが量産遅れても支援継続を強調
(ブルームバーグ): 自民党の半導体戦略推進議員連盟の会長に先月就任した山際大志郎元経済再生相は、2027年に2ナノ半導体の量産を目指すラピダスについて、量産時期に遅れが生じたとしても支援を継続する方針を示した。
山際氏は17日のインタビューで、ラピダスプロジェクトは「障壁が出てくるというのは織り込み済み」で、「障壁を全て乗り越えた先にしか日本の未来の社会は描けないという覚悟があるからやっている」と強調した。「成功するまでやれば失敗と言わない」とも述べ、例えば量産時期が28年になったとしても「そんなことは関係ない」とした。
もっとも、現時点では同社などからオンスケジュールで物事が進んでいると報告を受けているといい、「もうこれは奇跡に近い」と評価。山登りに例えると最先端半導体を作るという意味では8合目か9合目辺りまできているとの認識で、「その山を登ってさらに高い山を目指す」とした。同社は25年3月末までに二百数十台の半導体製造装置をそろえた後、4月に試作ラインを稼働させる計画だ。
新型コロナウイルス禍や米中対立などの影響で半導体不足が表面化した21年に同議連は発足した。過去にはエルピーダメモリの破綻など政府支援の限界も指摘されてきたが、経済安全保障における重要物資として半導体の存在感が高まる中、山際氏は引き続きラピダスへの支援の必要性を訴えた格好だ。
10月の衆院選で落選し、同議連の名誉会長に就いた甘利明元幹事長は11日、半導体関連の展示会で講演し、台湾積体電路製造(TSMC)に先端半導体の受託生産が集中するのはリスクがあり、ラピダスの存在には意義があると述べていた。
民間投資も
政府は経済安全保障の観点から、国内での半導体生産体制の強化を支援する。石破茂首相は30年度までに半導体や人工知能(AI)分野に10兆円以上の公的支援を行う方針を示しており、岸田文雄前政権の半導体支援強化の流れを踏襲する。同議連も山際氏が甘利氏の役割を引き継ぎ、切れ目のない支援を続ける姿勢を鮮明にした。