ユズ傷つけず運ぶ 4足歩行ロボ実証 園地からトラックへ 高知
高知工科大学と高知大学は、4足歩行ロボットで収穫したユズを運ぶ実証を進めている。農家から音声で指示を受け、収穫場所とトラックの積み込み場所を記憶し、自動で行き来する。農家の労働負担の軽減に加え、自律的にバランスを取って走るため、高単価が期待できる青果用ユズを傷つけずに運べるとして期待が高まっている。 ユズは、傾斜面の園地で収穫した果実をコンテナに入れ、人力でトラックまで運ぶなど、重労働が課題となっている。 実証に使うロボットは「SPOT」。園地内を3次元で解析したデータに基づいて動く。11月にはユズの生産が盛んな同県北川村の野友地区で実証。草地や障害物を回避して収穫場所とトラックを往復歩行し、30分間で250個を運んだ。 両大学は今後も、段差の多い園地や傾斜園地での実証を進める他、摘果作業時にも活用できるようにすることを目指す。ロボットの利用で農家の作業負担がどれだけ軽減されるのかも検証するため、心拍センサーや動作を3次元でデジタル化する技術を使い、心拍数の変化や腰や腕の動きの分析も進める。 北川村での実証に参加した農家の今吉祥さん(33)は、「初めて使ってみたがすぐに使いこなせることに驚いた。傾斜地で使えるようになれば、農家の負担軽減につながる」と話す。 高知大学の浜田和俊准教授は4足歩行ロボットについて、「鳥獣害の見回りや他の果実での活用など多様なニーズがある。検証を繰り返し、課題を掘り起こしていく」と話す。
日本農業新聞