【高級魚ホンモロコ】エサの付け方から美味しい食べ方まで教えます!
赤虫の体液で、ホンモロコの在不在を判断
わりと頻繁にアタリはあるのだが、合わせたり巻いたりしてもホンモロコが掛かっていることは少ない。 Sさん「アタリがあってそのまま待っていると2本、3本掛かってくることもある。ゆっくり巻いていると追い食いしてくることもある。完全に向こう合わせの釣りです」 仕掛けの問題なのか、活性の問題なのかは謎だが、合わせるよりも巻いた方が掛かる確率が高いように思う。釣れたホンモロコを嗅いでみると、コイ科の魚にしては極めて臭いが少ないことに気づく。 その後も飽きない程度にアタリが続いた。ワカサギもそうなのだが、数を釣ろうとする場合、エサの交換を面倒くさがらず、フレッシュさ維持することが基本中の基本だ。 Sさん「そこに魚がいるかいないか、赤虫の体液が抜けていることで判断ができます。抜けていればアタリとして現れなくてもホンモロコに啄まれていると思われ、赤いままだとそこにはホンモロコがいない可能性が高い」 そんなハウツーを伝授していただきながら、日が暮れるまでドラード釣りや南米の話をしていた。確かに座っているのは長命寺川だが、目の前に広がっていた光景はパラナ川やイベラ湿原だった…ような気もする。Sさんはほとんど竿を見ずに夢中で話していたので、なぜか初心者の語り部の方がちょっと多く釣っていたりもした。
食べるまでがホンモロコ釣り。高級魚の実力とは!?
釣ったホンモロコはポリタンクに入れて持ち帰り、2~3日の間エアレーションをした綺麗な水で生かし、氷締め。それを炭火で素焼きにして食べてみることにした。この食べ方が一番美味いらしい。 炭火でじわじわ焼いていると、香ばしい匂いが立ち上がり、食欲を刺激された。片面ずつ焼いたら、最後は網の目に頭から刺して仕上げとなる。この焼き方だとホンモロコの油が頭まで滴り美味しくなる…らしい。 これを酢味噌と生姜醤油で食べてみた。 …う、美味い! 想像していたよりもずっと美味である。身は香ばしく、甘みのある脂が乗っている。内臓の程よい苦味がアクセントになり、噛むほどに大人の味へと調和される。じっくりと炭火で焼いたせいか小骨も気にならない。 琵琶湖のコアユやワカサギも美味いが、それとは違う、ずっしりとした重い味わいがホンモロコにはあるのだ。前者が明るくわかりやすいハリウッド映画だとしたら、後者は陰鬱で芸術性の高い昔のフランス映画のような味わい…と言ったら伝わるだろうか? またすぐにでもホンモロコを釣りに行きたい(否、行った)。
望月 俊典:Rod and Reel副編集長を経て、現在フリーランスの編集/ライター。『世界の怪魚釣りマガジン』を手掛けた。