打球角度に左腕対策…2年目の大谷翔平を悩ませている知られざる問題とは?
直近――5月19日以降の10試合で見ても30個のアウトのうち、ゴロアウトが14個。ゴロの内野安打が2本。今季の平均ランチアングル(開幕~5月30日)を調べてみると、表のような数字だった。 まだサンプルが少ないので明確な傾向は出ていないが、昨年と比較した場合、顕著なのは左投手のスライダーに対する数値。昨季は25.8度でうまく角度をつけていたものの、今季の平均値はマイナスだ。サンプルそのものも6つしかないが、5つはゴロだった。左投手が大谷にスライダーを投げる比率が41.2%と徹底されているのは、根拠があってのことだろう。 そもそも今季、左投手に対する平均打球角度は-2.0度。打率だけで比較すれば今季は、対右投手が.220。左投手が.333(5月31日現在)だが、30日、菊池雄星が先発した試合でスタメンを外れたのは、菊地が左腕だからだった。復帰後、大谷が休養を与えられたのは3試合だが、いずれも先発が左だったのは、偶然ではない。 もちろん、対戦相手にかかわらず全体的にゴロが多いことは大谷自身も自覚している。28日の試合後には「(ボールの)上を叩いている。だからラインドライブも多いですし、ゴロも多い」と話し、そうなる理由をこう説明した。 「ポイントがちょっと前にある。本来ならもう一つ(タイミングを)遅らせてバットを(ボールの)下に入れられれば、もっと打球を上げられるんですけど、それが自分の中で前になってしまっている」 タイミングにわずかなズレが生じているよう。 エンゼルスのブラッド・オースマス監督は、「ショーヘイにはキャンプがなかった」と話し、今は調整段階という認識だが、かといってそういう状況で、大谷自身が冷静に問題点を理解できていることは、彼の強み。 「今、自分がどこにいるのかっていうのをちゃんと把握しないと戻れないんじゃないかなと思っています」 悪いときは、どこが悪いのか。反対にいいときも、「たまたまではない」と言い切れる。 昨年9月、本塁打を量産しているときには、「やっぱりいいスイングをしているときは、比較的、打球が上がりやすい傾向がある」と話し、こう続けた。 「その方が(ボールとの)接点も多くなりますし」 少なくとも今は、大谷は思うようなスイングが出来ていない。接点が小さく、ボールの上を叩いている。 では、ここからどう修正していくのか。 「今、(ポイントが)前になってしまっているなら、後ろにするためにどういう練習をすればいいか。後ろになってしまっているなら、ちょうどいいところで前に持っていくためには、また違う練習をしなければならない」 そんな中で31日、大谷は左翼へ本塁打を放った。打球角度は20度と相変わらず低かったが、試合後、自分のポイントで打てたのかと聞けば、「近いかなとは思います」と手応えを口にした。 「もちろん、完璧ではないですけど、比較的良いポイントでは打てたかなと思います」 間もなく復帰して1か月。大谷の2019年は今、そんな試行錯誤の中で、時を刻んでいる。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)