新背番号「15」のFC東京・久保建英が高校生Jリーガーの問題点を解決?!
一方でFC東京は昨シーズンの久保の主戦場を、U-23チームを参戦させているJ3にほぼ専念させた。 他の2種登録選手とともに、久保はプロの真剣勝負の舞台で21試合に出場。1629分間のプレーで2得点をあげるなど、2016シーズンの3試合、104分間、無得点からそれぞれ数字を伸ばした。 そうした状況で迎えた昨年10月のU-17ワールドカップが、久保の考え方に大きな変化を生じさせた。決勝トーナメント1回戦でPK戦の末に日本を下し、最終的には優勝したU-17イングランド代表は、主軸選手のほとんどがプロの選手だった。 ほぼ同じ世代の選手たちが、プロという厳しい舞台で日々鍛えられている。実力差だけでなく、自らが置かれた状況の違いに危機感を覚えた久保は、大会が開催されたインドから帰国した後にFC東京側と話し合いの場をもち、早期のプロ契約を決断した。 J1が残り3試合という段階だった昨年11月1日に、トップチームへの昇格が発表された舞台裏にはそうした事情があった。話し合いの席ではもちろん高校の問題も取り上げられていて、すぐに転校への手続きが取られたことになる。 昨年までは、平日は夕方から行われるFC東京U-18の練習に参加。高校が休みとなる土曜日にトップチームに合流し、U-23チームを合わせた全員が一緒に練習するなかで、連携などを即席で合わせながら翌日のJ3に臨んできた1週間のスケジュールも大きく変わる。 9日から行われてきた自主トレにもすべて参加するなど、午前中に行われる練習のなかで、他の攻撃陣との熾烈な競争に身を置くことができる。自主トレから練習を見守ってきた長谷川監督も、久保の動きに思わず目を細めた。 「何日間か見てきましたけど、技術的にもまったく見劣りしないし、非常に高いポテンシャルをもった選手だと思いました。競争に勝てれば彼もゲームに出られるんじゃないかと思っていますが、前線のポジション争いは非常に激しいので。 そのなかで彼の台頭でベテランや経験のある選手たちが発奮して、いい意味での相乗効果が生まれれば。まだ狭いピッチのなかでしかやっていないですけど、それでも非常に切れのあるプレーを見せてくれているので、非常に楽しみな選手ですよね」 13日の夕方から調布市内で行われた2018シーズン新体制発表会後には新背番号も発表され、久保は昨シーズンの「41番」から「15番」に変更となった。一気に数字が小さなくなった分だけ、チーム側が寄せる期待が凝縮されている。 一夜明けた14日からの沖縄・国頭キャンプを皮切りに、インドネシア遠征、そして31日からの沖縄・糸満キャンプを通して、プロ契約時に「誰が見ても『すごい』と、ひと目でわかる選手になる」と宣言した久保の、壮大なチャレンジが加速されていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)