豪雨被害乗り越えた“鮭の町”で採卵作業が最盛期「おいしいサケを届けたい」 恒例の高校生の実習も継続【山形発】
2024年7月の大雨で大きな被害があった山形・遊佐町のサケのふ化施設が復旧し、今、サケの採卵作業が最盛期を迎えている。災害を乗り越えた全国屈指の「鮭の町」では、ことしも高校生の実習が行われた。 【画像】高校生もサケの採卵作業を体験
大雨被害甚大のふ化施設で採卵作業
12月3日午前8時過ぎ、ふ化施設で作業が始まった。水揚げされていたのは、大きいもので約90cmにも育った立派なサケ。遊佐町の箕輪鮭孵化場では今、捕獲と資源保護のための採卵作業が最盛期を迎えている。 箕輪鮭漁業生産組合・佐藤仁組合長は、「今まで経験したことがないような雨だった。大変ひどい状況にもなったが、なんとか復旧できた」と施設を襲った大雨を振り返った。 2024年7月の大雨でサケが遡上(そじょう)する牛渡川がはん濫し、施設は高さ約1.8メートルまで浸水した。4棟あるふ化場では、ふ化に使う箱などが散乱し、一部は流されてしまった。 また、外の飼育池には泥がたまり、事務所も壊滅状態。秋の遡上を前に、これまでに経験がない被害が重くのしかかった。 しかしその後、組合員総出での作業に加え、県やボランティアなどの協力もあり施設は復旧。11月中旬の遡上開始に合わせ、営業することができた。
「おいしいサケを届けたい」
3日は、加茂水産高校の生徒が実習に訪れ、ウライを使った捕獲や採卵作業などを学んだ。 実習は毎年行われていて、高校生にとって2024年も貴重な学びの機会ができた。 実習に参加した生徒は、「自分も大雨の被害があったところに住んでいるので、復旧は大変だったろうと思う。組合員の努力のおかげだと思うので、感謝して実習したい」と話した。 近年は温暖化などの影響でサケの遡上量の減少が顕著だというが、今後はこうした「自然の変化」も見据えながら「おいしいサケを届けたい」と佐藤組合長たちは意気込んでいる。 佐藤組合長: 遠くは九州から地方発送などで買い求める客もいる。できるだけ期待に沿えるよう、サケ次第だが、できる範囲で頑張っていきたい。 採卵作業は12月中旬まで行われ、100年以上、人工ふ化が続けられている全国屈指の「鮭の町」では災害を乗り越え、ことしも伝統がつながれている。 (さくらんぼテレビ)
さくらんぼテレビ