転覆漁船と船団組んだ運搬船が網切断、探索船も共倒れ防ぎロープ切る…漁船は船首から「垂直に沈んでいった」
転覆後に救助された乗組員男性(73)によると、大浜丸はその後、「おもて(船首)から垂直に沈んでいった」という。事故原因については「イワシが網に入った際、運搬船と網船の距離が普段より短かった。それが関係あるかもしれない」とし、より大浜丸に負荷がかかった可能性があることをうかがわせた。
鹿島海上保安署の発表では、大浜丸の乗組員は「網を揚げている途中、魚が多く入って徐々に船体が傾いた」と説明。今回転覆した船に10年ほど前まで乗り、現在は他船で乗務する男性(54)は、「(重りの)バラストで船を安定させ、効かなければ探索船がロープを強く引く。それでもだめなら網が裂けて魚が逃げる」と指摘する。一方で、「あの船で500トンも捕ったことがある。300トンほどなら何とかなったはず」と言う。
事故現場周辺の水深が200~250メートルであることが、同署への取材で分かった。その深さから、潜水士らによる潜水捜索は実施していないといい、沈没したとみられる船や行方不明者の発見は難航することが予測されている。
同署は事故について、安全管理に不備があった可能性があるとして、業務上過失致死と業務上過失往来危険の両容疑で捜査を進めている。