【独自解説】川遊びした100人以上が医療機関を受診する異常事態―原因は『ノロウイルス』か?専門家が危惧する死亡例もある感染症の恐れ…川に潜む“見えない危険”と、その対策
Q.滝つぼからノロウイルスは検出されるものなのですか? (関西福祉大学・勝田吉彰教授) 「十分あり得ます。もっと上流のほうから、例えば動物の排泄物等で汚染されます。実は、貝で食中毒になる原因は、これが多いです。汚染された水が下流から海に入って、貝が取り込んだ中でどんどん濃縮されていく『貝のノロウイルス』はよくあります。ですので、メカニズムとしてはそんなにおかしい話ではないですが、まだ断定はされていないので、そこは慎重になるべきだと思います」 Q.「貝の中で凝縮」はイメージできますが、滝は流れているのに、ノロウイルスは薄まらないのですか? (勝田教授) 「通常、上流の水で即感染というのは起こりにくいです。ただ、熊本大学・川越教授がおっしゃっていた『水がよどんでいて入れ替わりが鈍い』という説明も併せて考えると、あり得ることだと思います」 Q.雨が降っていなくて水がよどんでいると、他の滝でもノロウイルス等が発生する可能性はありますか? (勝田教授) 「可能性はあります。決して“天草市内の”というわけではなく、『日本中どこでも起こり得る』ということだけは、誤解のないようにしてください。また、きれいな水であっても、自然の水をろ過しないで飲むのは絶対にNGです。というのも、ノロウイルスの話だけではなく、『クリプトスポリジウム症』という寄生虫の一種や、他のウイルスもあります。また、イノシシ・クマ・シカなど、動物と人間の距離が近くなっていると、よく報道されています。以前にもまして、こういった感染症のリスクは上がっていくと感じます」
■死に至ることも…ノロウイルス以外にも感染の恐れがある怖い感染症 川遊び時の感染対策とは?
今回『轟の滝』で検出されたノロウイルス以外にも、川の水には、目に見えない恐ろしい感染症が潜んでいる恐れがあります。 勝田教授も話していた『クリプトスポリジウム症』は寄生虫による感染症で、潜伏期間は3~10日、症状は下痢・腹痛・吐き気・倦怠感などが数日から2~3週間続き、重症化する場合もあるということです。感染経路は、『寄生虫がいるヒト・動物の排泄物に汚染された食品や水を摂取すること』『衛生設備が整っていない地域で食事や遊泳をすること』です。
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