【独自解説】川遊びした100人以上が医療機関を受診する異常事態―原因は『ノロウイルス』か?専門家が危惧する死亡例もある感染症の恐れ…川に潜む“見えない危険”と、その対策
さらに、環境悪化に拍車をかけているのが、連日の厳しい暑さです。 (川越教授) 「恐らく水温は、20℃を超えている状態ではないかと。微生物、特に細菌類は、温度が高いと爆発的に増えるスピードが上がります」 実際に水温を測ってみると、約28℃でした。滝の周辺では細菌やウイルスなどが増殖しやすい環境となっていた可能性がありますが、そもそも、どこから来たのでしょうか。 (川越教授) 「野生動物が水に入っていくかもしれないし、水を飲むし、排泄もします。その糞便の中に病原性の微生物やウイルスが入っていたら、当然汚染されます」
地元の野生動物に詳しい有害駆除隊の案内で向かったのは、滝から400mほど上流にある田んぼ。そこにあったのは、イノシシが土をほじった跡でした。侵入を防ぐための電気柵を設置していますが、最近はイノシシの出没が相次いでいるといいます。
2024年8月10日には、滝から数百メートル上流で体重100kgはあろうかというイノシシが檻にかかりました。さらに、その後も2日間で7頭が捕獲されたといいます。 こうした野生動物が、細菌やウイルスなどを水辺に持ち込んだのでしょうか…。
また、風評被害などの影響も出ています。地元の旅館では20~30人のキャンセルが相次ぎ、現場を視察した天草市の馬場昭治市長によると、市にも問い合わせがあるといいます。 (熊本・天草市 馬場昭治市長) 「ふるさと納税の方々から、『米を買ってもいいのか』という問い合わせもあります。ただ、そういうのも全く影響はないので、安心して、今まで通り天草の物を購入していただければと思います」
■熊本県発表、『轟の滝』から検出されたのは『ノロウイルス』 川で発生するメカニズムとは
そして、2024年8月27日、熊本県は水質調査の結果について会見を開きました。健康危機管理課・弓掛邦彦課長によると、「臭気・透明度・pHなど、水質には特段、異常のある数値は見られず」「滝つぼ・滝のすぐ上から『ノロウイルス』が検出された」「患者16人のうち6人の便からノロウイルスが検出された」ということです。ただ、滝と便のノロウイルスの遺伝子型は異なるといいます。
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