多くの人がじつは知らない、日本経済はなぜここまで低迷したのか「意外な原因」
この国にはとにかく人が足りない!個人と企業はどう生きるか?人口減少経済は一体どこへ向かうのか? 【写真】日本には人が全然足りない…データが示す衝撃の実態 なぜ給料は上がり始めたのか、人手不足の最先端をゆく地方の実態、人件費高騰がインフレを引き起こす、「失われた30年」からの大転換、高齢者も女性もみんな働く時代に…… 話題書『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』では、豊富なデータと取材から激変する日本経済の「大変化」と「未来」を読み解く――。 (*本記事は坂本貴志『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』から抜粋・再編集したものです)
変化2 生産性は堅調も、経済成長率は低迷
日本のGDP(国内総生産)は、長い間米国に次ぐ世界第2位の規模にあった。しかし、2010年頃に中国に抜かれ、直近ではドイツに逆転されて世界第4位にまで順位が下がっている。 人口と経済との関係を考えたとき、人口減少が必然的に経済の低迷を引き起こすわけではない。しかし、労働力は経済の重要な投入要素の一つである。人口減少は経済にどのような影響を与えるだろうか。
実質GDP成長率は主要先進国で最悪のパフォーマンスに
図表1-5は内閣府「国民経済計算」から実質GDPと名目GDP、GDPデフレーターの推移を取ったものである。 改めて実質GDPの過去からの推移を確認すると、1980年代の10年間は57.3%増加していた(269.7兆円→424.2兆円)。しかし、1990年代は13.8%(424.2兆円→482.6兆円)、2000年代が5.8%(482.6兆円→510.7兆円)、2010年から2022年は7.4%(510.7兆円→548.6兆円)と近年の経済成長率は緩やかなものにとどまっている。 物価の動向を反映するGDPデフレーターに目を転じると、1990年代後半から2010年代前半にかけて長く数値は低下し、日本経済は長期にわたるデフレーションを経験してきた。しかしその一方で、2013年を底にGDPデフレーターは緩やかな上昇基調に転じており、物価の基調は2010年代半ば以降変わってきていることがわかる。 日本の経済の動向を主要先進国と比較しながら振り返ってみよう。人口が一定規模以上の先進国6ヵ国(米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、日本)について、実質GDPの推移を表したものが図表1-6である。 2010年以降の実質GDP成長率(年率換算)を先進6ヵ国で比較すると、日本は最下位となる。 実質GDP成長率を上から順に並べていけば、米国が2.3%、イタリアが1.5%、ドイツが1.4%、英国が1.3%、フランスが1.1%、最後に大きく引き離されて日本が0.6%となっている。年率換算の成長率は、毎年その比率が積算されていくことになるため、コンマ数%の違いであっても長期的には大きな差になる。 この10年ほどの成長率を主要先進国と比較すると、日本の経済はかなり悪いパフォーマンスであったといえるだろう。