全日本女子バレー「光と影」。東京五輪に向けての現在地はどこにあるのか?
日本で開催された女子バレーの世界選手権で中田久美監督が率いる「火の鳥NIPPON」は6位に終わった。2次ラウンドではエースを温存されたセルビアに勝ち、ブラジルとも接戦を演じたが、各チームがギアを入れた3次ラウンドからは3連敗。メダルに手が届かずアメリカとの5位、6位順位決定戦でも完敗した。 中田監督は「今持っている力は発揮できた。昨シーズンより少しは上積みできたが、完成度は58パーセント」と大会を総括した。先のアジア大会では、中国、韓国、タイに敗れ4勝3敗で4位だったことを考えると、善戦ともV字回復という見方もできるのかもしれないが、この6位という結果をどう受け止めるべきなのか。 元全日本の大山加奈さんは「評価は難しいでしょうが、6位という成績が日本の現在地を示しているのかもしれません」という見方をしている。 「優勝したセルビアとは力の差が感じられましたが、私たちの時代の中国のように絶対に勝てない相手ではありません。イタリア、オランダには日本のバレーが機能しているときは十分に通用していました。約1か月の長丁場を戦う中で、日本の持つ強み、収穫と取り組んでいくべき課題の両方がハッキリと浮き彫りになった大会ではなかったでしょうか」 THE PAGEでは、大山さんが東京五輪に向けての「収穫と課題」について考察した検証レポートを2回に分けて掲載する。 日本が大会を通じて再確認することのできた長所と、収穫ポイントについて大山さんは、以下の5点をあげた。 (1)世界一のディグを軸にした守備力 (2)古賀紗理那の覚醒 (3)黒後愛の可能性 (4)田代佳奈美のトスの変化 (5)長岡望悠復帰と4枚攻撃の選択肢 「ディグは世界一。ディグをあれだけ上げると、海外のスパイカーはプレッシャーとストレスがかかります。井上選手、小幡選手のリベロの2人の守備範囲が広く素晴らしかった。多少、ブロックが悪くても拾う。サーブで崩す流れから、どこに打たせて、ブロックをどう絞って、どこで拾うのか、というトータルディフェンスへの意識が高かったですね。ブロックはリードブロックが徹底されていて、全体的にワンタッチは取れていました。サーブが機能して、ブロックとディグの関係がしっかりとしていたら強豪チームと十分に戦えると思いました」 つなぐバレーの真骨頂は随所に見せた。大山さんが絶賛した小幡真子のレシーブ成功率46.25パーセントは大会ランキングトップだった。