全日本女子バレー「光と影」。東京五輪に向けての現在地はどこにあるのか?
攻撃面で際立ったのはリオ五輪、アジア大会のメンバーから漏れていた古賀の覚醒。大会171得点は、堂々のランキング5位。スパイクでは156点で決定率の34.90は世界のトップグループからは遠い数字だが、大山さんは「大きく成長。一皮むけた」と高い評価を与えた。 「顔つき、醸し出す雰囲気からして違いました。大きく成長しました。変わったのは助走です。しっかりと開いて、助走のスピードを使うことができるようになったため、ジャンプ力も上がり打点も高くなり、開くことでより相手の動きが見えるようになっています。ファーストタッチが、これまでのように低く速くを意識したものではなく、田代選手のトスも大きく、アンテナあたりまで伸びる余裕のあるものが増えたことも原因だと思います。古賀選手にトスが上がると安心感がありました」 大山さんは、古賀の覚醒を生み出した背景にルーマニアでプレーしている田代佳奈美のトスワークの変化があったと見ている。 20歳の黒後も今大会のニューフェイス。中田監督が「若手の2人が戦力となって加わったことが大きい」と名指しした一人だ。 「黒後選手は、相手のブロックをはじき飛ばす力があります。体が絞れた影響からか、この1年間で驚くほどジャンプ力が伸びて到達点も高くなったと言います。持って生まれた肉体の強さがあり、ズドンと体重が乗ってボールが重たいのです。彼女の能力からすればもっとできると思います。1次リーグは目立ちましたが、勝負の終盤では出番が減り、アメリカ戦でも途中交代させられるなど、まだ本当の信頼感はなく、本人も納得していないんだと思います。悔しさの方が大きかったのでしょうが、向上心の高い選手。この経験をバネに成長してもらいたいですね」 攻撃面ではバックアタックが増えたのが目立った点だ。中田監督が提唱していた4枚攻撃が可能になった。 サウスポーの長岡が怪我から復帰したことも選択肢を増やすことにつながっている。 明日掲載予定の第2回では、日本が抱える課題について続けてレポートする。