【ご当地コスメ・新潟県十日町市発】きものの街から生まれた「みどりまゆ」のパワーがみなぎる高機能コスメ
日本には、特産品や農産物などその地の恵みを生かしてつくられた「ご当地コスメ」が数多く存在する。そんな中から、肌や環境に優しく、大人が使っても満足できる高機能なコスメを厳選。持続可能な社会づくりのために、ぜひ知ってほしい。そんな「ご当地コスメ」を8回にわたってご紹介する連載第1回は、新潟県十日町市を拠点にする「絹生活研究所」の「みどりまゆ」を使ったコスメだ。
衰退していく“きものの街”の存続を願って生まれたシルクコスメ
「消滅可能性都市」という言葉をご存知だろうか? とても衝撃的な言葉だが、少子化や人口移動に歯止めがかからず、将来的に存続できなくなる可能性がある自治体のことをさす。新潟県十日町市も消滅都市のひとつに選ばれた。 十日町は、面積の70%を山林や野原が占め、中央には信濃川が流れる美しい自然に恵まれた場所だ。ただ、豪雪地帯としても知られるとおり、一年のうち三分の一が根雪期間。冬季は日常生活や経済活動などに支障がでる。過疎化・高齢化が進んでいるのは、そのような環境も影響しているのかもしれない。
写真は松代地域にある棚田群。大小様々な水田約200枚がまるで魚の鱗のように斜面に広がる。満水になった田の水鏡に四季折々の美しい景色が映る絶景スポット。ちなみに松代地域はもともと松代町というひとつの自治体だったが、2005年に十日町市、東頸城郡松之山町、中魚沼郡川西町・中里村と合併し、現在は十日町市になったため消滅。 十日町は絹織物の生産がさかんで“きものの街”としても名高く、その歴史は1,500年以上とも。その地に、きものの着用後のアフターケアやメンテナンスを専門にした「きものブレイン」という会社がある。もともとは呉服卸売業として設立したものの、呉服業界にアフターケアの概念がないことに疑問と危機感を抱いた岡元松男社長が、1980年にしみ抜きや仕立てなどを専門に行う「きものアフターケア」の看板を掲げた。
国内外にきもの文化を発信する新たな拠点として2017年に工場を集約し移転したきものブレイン夢ファクトリー本社工場。スペース内ではきものアフターケアの加工技術の見学、養蚕事業の紹介、「絹生活研究所」の開発商品の展示・販売などを行なっている。 起業してしばらくは技術者の養成すらままならない状態だったが、バブル経済の崩壊で呉服業界の売り上げが低迷する一方で、アフターケアが注目を浴びるように。大学で日本画や美術修復を学んだ人たちなど、きものの修正デザイナーの道に進むことを志願する人も増え、現在「きものブレイン」で働く社員の平均年齢は38歳。 社内は、若いパワーがみなぎっている。地域貢献のために、障がい者雇用も積極的に行い、現在32名の障がい者が健常者と一緒にいきいきと働いている。