「裏切られた」不登校だった少年が抱えていた孤独 学校にあらがい続けた13歳の死、教育委員会の対応は「機能不全」に
不登校だった6年生の頃、翔さんは毎朝、千栄子さんが勤務するNPO法人の事務所に通った。他のスタッフと遊んだり、周辺を散策したりして時間を過ごし、千栄子さんの仕事が終わると一緒に帰る。そんな日々を過ごしていた。 NPO法人の代表を務める梅川昭子さんは、翔さんに連れ出されて、事務所から徒歩10分のところにある海岸線まで何度も往復したという。「翔君は海沿いを歩くのが好きだったから、毎日のように行きましたよ。釣りも好きだったし、生き物全般が好きだったんじゃないかな。拾ってきた虫を人の肩にのせて、びっくりさせる。そんな子どもらしい一面もあった」。梅川さんが案内してくれた堤防からは、大阪湾が一望できた。彼はここに来ると、いつも1時間くらい波打ち際を歩いて過ごしたという。 ▽今も分からぬ死の理由 一周忌となる今年3月下旬。千栄子さんと兄は子どもの権利条例委員会のメンバーとともに、翔さんの遺体が見つかった池のほとりを訪れ、花を手向けた。目をつむり、手を合わせる千栄子さんの肩は小刻みに揺れていた。
なぜ死を選んだのか。その理由は今も不明だ。第三者委員会の調査が尽くされても、どこまで明らかになるかは分からない。ただ、翔さんが学校生活の中で何かに傷つき、「裏切られた」と感じたこと。それがきっかけとなって不登校になったことは間違いない。 「期待すればするほど、裏切られた時のショックは大きい。彼は本当は学校に行きたかったんだと思う。でも、それができなかった。だから余計につらかったんじゃないかな」。翔さんを知る人は、二度と語られることのない胸の内をそう推し図った。 【※厚生労働省は、「悩みや年代によって選べる相談窓口があります」として下記の窓口をホームページで紹介しています】 ▽いのちの電話 (0570)783556(午前10時~午後10時) (0120)783556(午後4~9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時) ▽こころの健康相談統一ダイヤル (0570)064556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▽よりそいホットライン (0120)279338(24時間対応) ▽あなたのいばしょ チャット相談 https://talkme.jp/(24時間365日対応)