FT買収の日経会見「グローバル化の時間買う」デジタルの統合効果訴え
英国の有力経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)を発行するFTグループの買収を発表した日本経済新聞社の経営陣が24日、都内で記者会見した。岡田直敏社長は買収理由について「コンテンツの相互補完、人材の交流を進めながら日経のグローバル戦略を一歩早く進めたい。時間を買うということ」と説明。8億4400万ポンド(約1600億円)の買収価格については、「FTのブランド力や資産価値を勘案して、両社でつくり上げる価値を考えていけば、金額は見合う」と妥当性を訴えた。 【会見動画】日本経済新聞が英FT買収で記者会見
喜多恒雄会長はFTとの人材交流や共同編集などの協力関係に触れたうえで、「理念や価値観が我々と同じで、日経のグローバル化を進めるためには最も良いパートナーと考えるようになった。ここ数年は親会社のピアソンに対して、FTの経営に関心があると折にふれて伝えていた」と説明。5週間前にピアソンから、投資銀行を通じて買収の打診があり、交渉を重ねて23日の同社側との電話会議で価格を決定、契約に至ったと明らかにした。買収費の捻出については、自己資金と外部借り入れを検討しているという。 喜多会長と岡田社長はともにFTの現経営陣や編集局を信頼しているとし、「編集権の独立を維持する」と強調。「経営へ細かく口出ししない」(岡田社長)などと述べ、人員削減目的の両社の支局再編を否定した。 買収のメリットについては、両社の電子版を合わせて有料読者が90万人超となるなど、デジタル戦略分野に期待を寄せた。岡田社長は「FTはシステムやサービス開発、顧客管理やプロモーションで一歩先を行っている」と評価。FTの技術の導入や、グループ内の開発リソース一本化に意欲を見せた。アジア企業のデータベース化を進めたうえでの、データ提供サービスの展開にも興味を示した。 また、岡田社長はコンテンツ面について「欧米に強いFTとアジアに強い日経で、質と量を飛躍的に高められる。世界の読者にプラスになる」と述べた。