ユーロ圏妥結賃金、第3四半期に伸び加速 利下げに慎重論
[フランクフルト 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が20日発表したデータによると、第3・四半期のユーロ圏の妥結賃金の伸びは5.42%と、第2・四半期の3.54%から加速した。労働市場は一部に冷え込みの兆しが見られるものの、依然タイトであるため、ECBは早急な利下げには慎重になるとの見方が強まっている。 今回のデータで12月の追加利下げ観測が後退することはないだろう。だが、タカ派の当局者は、ECBが来年春まで連続して追加利下げを行い、現行3.25%の預金金利が2%かそれ以下に引き下げられるとの市場観測を落ち着かせるために、今回のデータを使う可能性は高い。 また、このデータにはまだ反映されていない直近の妥結賃金の伸びは控えめで、さらなる冷え込みを示唆しているとの見方もある。 ドイツ最大の産業別労働組合、IGメタルは先週、約400万人の労働者を対象に25カ月間で5.5%の賃上げに合意した。 JPモルガンのエコノミスト、グレッグ・フゼシ氏は「来年のユーロ圏の賃金上昇は顕著に鈍化するとの予想に変わりはない。総合インフレ率がかなり低下しているため、実質賃金が十分に回復すれば、名目賃金の伸びもより低くなる」と指摘した。