カレル・チャペックの名言「いちばん肝心のものは…」【本と名言365】
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。チェコの国民的作家であり、熱烈な園芸家でもあったカレル・チャペックが語った、仕事や人生にも通ずる言葉。 【フォトギャラリーを見る】 いちばん肝心のものはわたしたちの未来にある チェコの国民的作家カレル・チャペック、『ロボット()』という戯曲で「ロボット」という言葉を生み出した劇作家であり、犬好きの人にとっては『ダーシェンカ』、科学技術の行き過ぎた発達を皮肉った物語『山椒魚戦争』など、ユーモアを交え文明を鋭く批判する文体で、多くの作品を生み出した作家だ。本書の解説には「一九一八年~一九三八年にかけての二〇年間はチェコ文学の最も華やかな時代だったといわれているが、チャペックは、国際的にいちばんひろく名前を知られた、その代表的な花形作家だ」と書かれている。 カレル・チャペックは大学では哲学を専攻し、その後ジャーナリストとなり、劇作家としても成功しプラーグ市立劇場の文芸部長を務め、小説や絵本を描き非常に多彩な仕事をしていたが、相当な趣味人でもあった。『園芸家12カ月』は彼が30代後半で書いた作品であり、実際チャペック兄弟はかなりの園芸家でもあったと言われている。1月~12月に章がわけられ、その季節に園芸家が何をしていたのか──天気に一喜一憂し、アブラムシやウドンコ病に翻弄され、隣の庭を羨み、生えてくる雑草を抜く、絶えず自然に立ち向かう懸命ながらも滑稽な姿が描かれている。 園芸家は休まない。何も花が咲いたり収穫ができる季節だけが重要なわけではない。冬の時期には、現在植えている花々にどうやってこの寒さを越えさせようかと考え、土をどう改良していこうかと悩み、溜まった園芸書を読むのだ。そして、次の季節に思いを馳せる。「われわれ園芸家は未来に生きているのだ」と彼はいう。園芸家はもっといい花を咲かせ、いい木を育てたいと数年~数十年先を常に夢見ている。
カレル・チャペック
1890年生まれ。チェコの小説家、劇作家、ジャーナリスト、園芸家。ロボットの語源にもなった戯曲『』を始め、多くの作品を生み出す。文筆活動は童話、旅行記、文明評論など多岐にわたる。
photo_Yuki Sonoyama text_Keiko Kamijo illustration_Yoshifumi ...