否定するのは作らない側の人──料理研究家リュウジがうま味調味料にこだわる理由
「台所に立つって、孤独なんですよ、みんな。献立を考えるのも調味料に何を使うのかも、全部自分ひとりでやんなきゃいけないんです。今日の副菜は何にしようかとか。そこに寄り添えるのは料理研究家しかいないんですよ。僕らは味の探求者でなく、もっと生活に密着しています。僕は男性女性関係なく、台所に立つすべての人の味方であろうといつも思っています」 「だから、(いつも食べるだけの人が)肉じゃがを初めて作ったら、『いつも軽く作ってと言ってたけど、こんなに時間かかるんだ』とか、わかってもらえるじゃないですか。そうしたら、もう少しお互いが寄り添えるんじゃないかなって思いますけどね」 リュウジさんがYouTubeにアップした料理動画でもっとも再生回数が多いのは、『至高の黄金炒飯』で516万回視聴。YouTubeの料理動画で炒飯は鉄板ネタだが賛否もわかれることもある。だがリュウジさんの動画には2000を超えるコメントのほとんどが「初めて作ったのに、店で出せるレベルの物ができた」「彼氏に作ってあげてから、彼氏がリュウジさんにどハマりした」など、喜びがあふれていた。そのレシピにはもちろん、「味の素 8振り」と書いてある。 --- 神田憲行(かんだ・のりゆき) 1963年、大阪市生まれ。関西大学法学部卒業。師匠はジャーナリストの故・黒田清氏。昭和からフリーライターの仕事を始めて現在に至る。主な著書に『ハノイの純情、サイゴンの夢』『「謎」の進学校 麻布の教え』、最新刊は将棋の森信雄一門をテーマにした『一門』(朝日新聞出版)。